イトマキヒトデ
Asterina pectinifera
ヒトデ綱イトマキヒトデ科の棘皮(きよくひ)動物。日本各地の干潮線付近の岩礁地帯でごくふつうに見られる五角形の糸巻形のヒトデ。5本の腕の間の切れ込みが浅いのでほぼ五角形になるが,ときには4本や6本の腕をもつものもある。中心から腕の先端まで約5cm。北海道産のものはとくに大きい。背側はやや隆起し,藍色や緑色を帯びた青色の地に,不規則な赤橙色の模様がある。腹側は扁平で黄色。背板は顆粒状の短いとげで覆われ,骨板の間から皮鰓(ひさい)と呼ばれる呼吸器官がでるが,体の周辺部には小骨板が密に帯状に取り巻き,皮鰓はない。体の腹側は腹側板が規則正しくV字状に配列し,皮鰓はない。胃を口の外に反転させて餌を包み,消化しながら吸収し,不消化物は捨てる。ムラサキイガイ,カキなどの二枚貝やウニ類,ゴカイ類のほかいろいろな動物を食べる。6~7月ごろ産卵する。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イトマキヒトデ
いとまきひとで / 糸巻海星
[学] Asterina pectinifera
棘皮(きょくひ)動物門ヒトデ綱イトマキヒトデ科に属する海産動物。五角形の分厚い糸巻形をしたヒトデで、青藍(せいらん)色の地に不規則な雲紋(うんもん)状の赤色斑(はん)が散在するものが多いが、青緑色を帯びたものや、全体がほとんど赤橙(せきとう)色1色のものもある。裏側は一様に黄橙色。胃を膨らませて口から外へ押し出し、岩の上や養殖筏(いかだ)の周りをはい回って魚貝類を食害する習性がある。北海道から九州まで各地の磯(いそ)でごく普通にみられ、樺太(からふと)(サハリン)、朝鮮半島、中国北部沿岸にも分布する。近似種として、チビイトマキ、トゲイトマキ、ヌノメイトマキヒトデなどがあるが、いずれも直径2~3センチメートル以下の小形種である。
[重井陸夫]
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「イトマキヒトデ」の意味・わかりやすい解説
イトマキヒトデ
イトマキヒトデ科の棘皮(きょくひ)動物。腕は短くて切れ込みが浅く,ほぼ五角形。背面はふくらみ,藍(あい)色地に赤斑がある。腹面は平らでだいだい色。日本各地の潮間帯の岩礁でごく普通にみられる。
→関連項目ヒトデ
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イトマキヒトデ
Asterina pectinifera
棘皮動物門ヒトデ綱有棘目イトマキヒトデ科。体は浅い星形で,腕と腕の切れ込みは浅い。腕は通常5本で,腕長約 6cm。体色は下面は橙赤色,上面には不規則な斑紋がある。日本各地,千島列島南部,沿海州に分布し,浅海の岩礁にきわめて普通にみられる。
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