日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラサキイガイ」の意味・わかりやすい解説
ムラサキイガイ
むらさきいがい / 紫貽貝
blue mussel
common mussel
[学] Mytilus edulis
軟体動物門二枚貝綱イガイ科の二枚貝。ヨーロッパ原産であるが、世界各地に広がり、日本には1926年(大正15)ごろからみられ、1935年(昭和10)に神戸港産が報告された。現在では全国の内湾の潮間帯の岩礁や養殖筏(いかだ)などに付着する。とくに火力発電所などの取水口をふさぐため、養殖場や海浜工業には害敵である。殻長90ミリメートル、殻高50ミリメートル、殻幅35ミリメートルに達し、長卵形で前方の殻頂のほうへ細くなる。イガイに似ているが、殻は薄質で、殻表は黒色、腹側は褐色を帯び、光沢がある。腹側の狭いすきまから足糸が出る。内面は青白色。肉は食用とされ、フランス料理ではムールガイ(ほかにチレニアイガイM. galloprovincialisをもムールガイという)の名でよばれる。ヨーロッパでは養殖もされている。
[奥谷喬司]