ムラサキイガイ(英語表記)blue mussel
Mytilus edulis

改訂新版 世界大百科事典 「ムラサキイガイ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキイガイ (紫貽貝)
blue mussel
Mytilus edulis

イガイ科の二枚貝。殻は卵三角形で殻頂のほうへ狭くなる。長さ9cm,高さ5cm,膨らみ3.5cmになる。薄質で黒青色であるが,腹側は褐色を帯び,光沢がある。左右の殻の腹側の隙間から足糸を出して岩などに付着する。内面青白色。足は小さくて,足糸をのばし地物につけて移動する。プランクトンや浮遊有機物を食べる。日本での産卵期は12月より翌年4月ころまでで,1匹の親貝が1200万粒ほどの卵を放出する。1年で成熟し,2年で9cmくらいになる。雌雄異体であるが性転換もする。ヨーロッパ原産であるが,今では世界各地に広がっている。日本へは1926年ころ明石市二見で発見されたのが最初で,35年には神戸港産が報告された。現在では全国の内湾の潮間帯の岩礁護岸カキ真珠養殖いかだに密集して付着し害貝とされる。ヨーロッパとくに地中海沿岸のもの(地中海型M.e.galloprovincialis)はムールガイと称して賞味され,養殖もされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラサキイガイ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキイガイ
むらさきいがい / 紫貽貝
blue mussel
common mussel
[学] Mytilus edulis

軟体動物門二枚貝綱イガイ科の二枚貝。ヨーロッパ原産であるが、世界各地に広がり、日本には1926年(大正15)ごろからみられ、1935年(昭和10)に神戸港産が報告された。現在では全国の内湾の潮間帯の岩礁や養殖筏(いかだ)などに付着する。とくに火力発電所などの取水口をふさぐため、養殖場や海浜工業には害敵である。殻長90ミリメートル、殻高50ミリメートル、殻幅35ミリメートルに達し、長卵形で前方の殻頂のほうへ細くなる。イガイに似ているが、殻は薄質で、殻表は黒色、腹側は褐色を帯び、光沢がある。腹側の狭いすきまから足糸が出る。内面は青白色。肉は食用とされ、フランス料理ではムールガイ(ほかにチレニアイガイM. galloprovincialisをもムールガイという)の名でよばれる。ヨーロッパでは養殖もされている。

[奥谷喬司]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムラサキイガイ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキイガイ
Mytilus edulis; blue mussel; common mussel

軟体動物門二枚貝綱イガイ科。殻長 9cm,殻高 5cm,殻幅 3.5cm。殻はやや薄質,長卵形で殻頂のほうへ細まる。殻表は黒青色,腹側は褐色を帯びる。内面は青白色。腹縁の狭いすきまから足糸を出して地物に付着する。ヨーロッパ原産であるが,世界各地に広がり,日本では 1926年に兵庫県明石市二見で発見されたのが最初である。産卵期は 12月~4月で,1回に約 1200万粒の卵を産む。1年で成熟し,2年で 9cmほどになる。商品名をムールガイといい,特にフランスやスペインなど南ヨーロッパで食用に供され,賞味されている。 (→二枚貝類 )

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百科事典マイペディア 「ムラサキイガイ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキイガイ

イガイ

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世界大百科事典(旧版)内のムラサキイガイの言及

【魚貝毒】より

…食後30分間から3時間ほどで口や手足に麻痺が起こり,重症の場合は呼吸中枢がおかされ死亡する。
[イガイなど]
 プランクトン起源の毒をムラサキイガイなどが中腸腺に蓄積したものである。最近,この毒の化学構造が明らかにされた。…

【生物濃縮】より

…また,生物濃縮現象を利用して,生物体を分析することにより,環境中にごく微量にしか存在していない放射性物質の濃度,あるいはその変化の傾向を推定することができる。この目的で使用される生物を指標生物といい,褐藻のホンダワラ,二枚貝のムラサキイガイなどが利用されている。【稲葉 次郎】。…

【大西洋】より

…その4分の1はシシャモ近縁種で289万t(北西区も含めて293万t,魚種別漁獲量第3位),マダラ近縁種147万t(北西区を含め203万t,魚種別漁獲量第5位),タラ110万tと続く。ムラサキイガイは30万tで,魚種別漁獲量として世界の96%を占める。褐藻の採取量は17万tで世界の7.7%にすぎないが,大西洋全体の92%になる。…

※「ムラサキイガイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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