イベリス(読み)いべりす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イベリス」の意味・わかりやすい解説

イベリス
いべりす
[学] Iberis

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の1属名。マガリバナともいう。耐寒性の一年草または多年草。西アジアから南ヨーロッパ、北アフリカへかけて約40種分布する。多く栽培されるのは、一年生種では、イベリスアマラI. amara L.と、イベリス・アンベラータI. umbellata L.で、前者は草丈15~20センチメートルで、4~5月ごろ白色十字形花を短穂状に密に開き、芳香がある。後者は草丈10~15センチメートルでよく分枝して茂り、4~5月ごろ赤、桃、茶紫、白色などの十字形花を総状に開く。両種とも秋播(ま)き一年草として扱い花壇の縁どりや切り花によい。多年生種ではイベリス・センパービレンスI. sempervirens L.が栽培され、草丈は15~20センチメートル、5月ごろ、よく分枝して茂る枝先に白色の小花を総状に多数集まって開く。ロック・ガーデンや花壇の縁どりによく春播きで翌春から花をつける。

[柳 宗民 2020年11月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イベリス」の意味・わかりやすい解説

イベリス
Iberis; candytuft

アブラナ科イベリス属の総称。南ヨーロッパ,北アフリカ,西アジアなどに約 30種が分布する一,二年草または多年草で,低木状になるものもある。園芸店では一般にキャンディタフトの英名で扱われている。なめらかな葉は互生し,線形,へら状,または羽状に裂ける。花は散房または総状花序を形成し,4枚の花弁のうち,花序の内側の2枚が小さく,外側の2枚が大きいのが特徴。花色は白色,桃色,紫紅色などで,4~6月にかけて咲く。庭で栽培される種としては,白花で草丈 20~30cmのイベリス・アマラ (→マガリバナ ) が最も一般的。切り花としては,草丈 30~70cmになるイベリス・ウンベラータ I.umbellataが普及している。白色,桃色,紫紅色など多彩であり,分枝が多いのが特徴。日当りと水はけのよい場所を好み,じょうぶで土質はあまり選ばない。種子は一,二年草は秋まき,多年草は春から初夏にかけてまく。

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