ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イワン2世」の意味・わかりやすい解説
イワン2世(柔和公)
イワンにせい[にゅうわこう]
Ivan II Ivanovich, Krasnyi
[没]1359.11.13.
ロシアのモスクワ大公国の大公 (在位 1353~59) 。イワン1世 (カリタ)の子。兄のシメオン・ゴルドイ (在位 1340~53) が黒死病で死んだのち即位。気の弱い,やさしい性格であったといわれ (そのため「柔和公」のあだ名が付された) ,それにつけこむ諸公のため大公権は一時ゆらいだ。治世中,トベーリ公が父帝の代に続いて再び大公位簒奪の計画をめぐらしたほか,リャザンの諸公はモスクワ領内に侵入して村落と町を焼き打ちにし,リトアニア (リトワ) はプスコフをうかがい,ノブゴロドはスズダリ公 (→スズダリ公国 ) を導入して内戦と混乱を収拾しようとした。この期間,政治権力としての大公権を守ったのはモスクワ府主教アレクセイであった。タタール人の尊崇も受けていたアレクセイは,その権威をもってトベーリ公に内戦の停止を要請し,配下のノブゴロド主教に北方領域での反乱を終息させた。
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