プスコフ(読み)ぷすこふ(英語表記)Псков/Pskov

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プスコフ」の意味・わかりやすい解説

プスコフ
Pskov

ロシア北西部,プスコフ州州都。プスコフ湖(→チュド湖)に注ぐベリーカヤ川河口から約 14km上流に位置する。早くからバルト海沿岸地方との交易の中心地として開けたロシア最古の都市の一つで,年代記の 903年にプレスコフ Pleskovの名で記録されている。1240年ドイツ騎士団によって占領されたが,2年後にアレクサンドル・ネフスキーの軍が奪回し最盛期を迎えた。1348年には共和国として独立し,ハンザ同盟に加わったが,1510年にモスクワ大公国に併合され,18世紀初めの大火以後衰微した。クレムリン城塞)内のトロイツキー大聖堂(至聖三者大聖堂,1682~99)をはじめ,12~18世紀の建築物が数多く残され,そのうち 15~16世紀に最盛期を迎えたプスコフ建築派と呼ばれる一群の建築家たちが手がけた 10の教会・修道院とそれらの関連施設が 2019年世界遺産の文化遺産に登録された。機械製造,アマ(亜麻)加工の工業が立地する。教育大学,歴史・芸術博物館などがある。サンクトペテルブルグの南南西約 250kmにあたり,鉄道ハイウェーで結ばれる。人口 20万3281(2010暫定)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プスコフ」の意味・わかりやすい解説

プスコフ
ぷすこふ
Псков/Pskov

ロシア連邦北西部、プスコフ州の州都。ロシアの古都で、観光都市として知られる。人口20万2900(1999)。ベリーカヤ川沿岸に位置する鉄道の分岐点。年代記の903年に現れる古い町で、交易の中心地として栄えた。1240年ドイツ騎士団により占領されたが、のち独立し、13世紀にもっとも栄えた。14世紀ハンザ同盟に加入したが、16世紀初めモスクワ大公国に併合された。市内にはクレムリン(城塞(じょうさい))、トロイツキー大聖堂など12~18世紀の建築記念物が多数保存され、訪れる観光客が増えている。工業の発展も目覚ましく、電話、モーター、電気機械、合成繊維設備製造、食品工業が主要なものである。教育大学、歴史・芸術博物館、ドラマ劇場、人形劇場がある。

[中村泰三]

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