モスクワ大公国(読み)モスクワたいこうこく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モスクワ大公国」の意味・わかりやすい解説

モスクワ大公国
モスクワたいこうこく
Moskovskoe Velikoe Knyazhestvo

モスクワを都とする中世ロシア国家。 13世紀初頭ウラジーミル=スズダリ公国分裂とともに自立しはじめたが,完全に独自の歩みを進めるようになったのは,アレクサンドル・ネフスキーの子ダニールがここを領有 (1276頃) して以来のことである。 14世紀初頭にはコロムナペレヤスラブリ・ザレスキー,モジャイスクなどを合せて急速に拡大。ダニールの子ユーリーは 1318年早くもウラジーミル大公位を獲得。特にイワン1世 (カリタ)キプチャク・ハン国助力を得て,宿敵トベーリを圧倒し,モスクワを北東ロシア最強の国とした。 14世紀後半ドミトリー・ドンスコイ公はキプチャク・ハン国の支配に反旗を翻し (→クリコボの戦い ) ,一時ロシアを独立させた。 15世紀に入ると内乱に悩まされたが,イワン3世 (大帝)の治世には,キプチャク・ハン国からの最終的独立が達成され,大公権が強化され,東ロシアのほとんどがモスクワの支配に服した。大公国の発展は,16世紀中頃イワン4世 (雷帝) 治世に成立するモスクワ帝国によって継承される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モスクワ大公国」の意味・わかりやすい解説

モスクワ大公国
もすくわたいこうこく

14~16世紀ロシアの独立と統一を達成した国。13世紀後半に創立されたモスクワ公国は、しだいに北東ロシアで重きをなした。イワン1世(在位1325~40)がキプチャク・ハン国から大公位を獲得(1328)、以後全ロシアの大公として歴代のモスクワ大公は領域拡張に、またハン国からの独立運動の指導的勢力として活動。とくにイワン3世(在位1462~1505)よりイワン4世(在位1533~84)にかけてハン国よりの独立、キプチャク・ハン国の分裂後の諸ハン国や諸公国の併合により、多民族国家への道を開いた。

[伊藤幸男]

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