翻訳|Indiana
アメリカ合衆国、中北部の州。面積9万3993平方キロメートル、人口608万0485(2000)。州都インディアナポリス。北西端はミシガン湖にかかり、西にウォバッシュ川、南にオハイオ川が流れ、それぞれ州境をなす。アパラチア山脈からミシシッピ川にかけて緩やかに傾斜する中央低地の一部で、州土の6分の5は氷河作用を受けている。南部は丘陵地や峡谷が多い低地で、景観に優れ、石灰石の産地となっている。中央部は平坦(へいたん)な平原で、肥沃(ひよく)な黒土を利用した農業地帯をなす。北部は氷河作用をもっとも強く受けた湖岸平野で、沼沢、湖、堆石(たいせき)が多い。気候は湿潤性大陸気候に属し、はっきりした四季がある。州土の4分の3は農業地帯で農業収入は全米第9位。大豆(3位)、トウモロコシ(5位)の産高が高く、小麦、オート麦、ジャガイモやトマトなどの野菜栽培も北部地域で盛んである。ブタを主とした牧畜も主要な農業の一つである。
州の急速な発展は、1840年代のウォバッシュ・エリー運河の開通によるもので、工業は南北戦争後、とくに19世紀後半の精油工場の開設が契機となって発展した。豊かな農産物を利用した食品加工や鉄鋼業がその中心であったが、現在ではほかに、金属、自動車、電気機械、電子機器、輸送機器などの工業が盛んである。これらはゲーリー、ホワイティングなどの都市があるカルメット工業地帯を中心に行われる。鉱物資源も豊かで、とくに石炭、砂礫(されき)は合衆国でも有数の産地となっており、建築など工業用に広く利用される。州最大の都市インディアナポリスは「中西部のメインストリート」と称されるほどの重要な交通の要地である。
教育、文化の発達も顕著で、カトリック系大学として全国に有名なノートルダム大学、工学と農業のパーデュー大学、インディアナ州立大学をはじめとする66大学がある。また、コール・ポーター、ホーギー・カーマイケル、レッド・スケルトンなど、人気の高い大衆芸術家を多く輩出した。
本格的な入植は、1679年フランス人によるもので、1763年フレンチ・アンド・インディアン戦争の終結によってイギリス領となり、独立戦争終結によって合衆国に譲渡された。のちノースウェスト準州に加わり、1800年インディアナ準州が誕生、1816年には19番目の独立州に昇格した。
[作野和世]
アメリカ合衆国中西部の州。略称Ind.。連邦加入1816年,19番目。面積9万3993km2,人口648万3802(2010)。州都および最大都市はインディアナポリス。州名は〈インディアンの土地〉の意。別称の〈フージアの州Hoosier State〉も親しまれている。州民をフージアと呼ぶ由来には種々の説があるが,イギリスのカンバーランド地方の方言で〈高地人〉を指すhoozerが語源で,転じて〈奥地の人〉〈開拓民〉を意味し,1830年代から州民の呼名になったともいう。この州はミシガン湖とオハイオ川の間に南北に延び,南東部を中心に丘陵があるが,全体としては平野が多い。湿潤温暖気候から湿潤大陸性気候への漸移地帯。トウモロコシ地帯の東部に位置し,トウモロコシ,ダイズ(全米3位,1980),小麦などの栽培が盛んであるが,同州で最も有名なのはインディアナポリスでの500マイル自動車レースであろう。しかし,当市の自動車会社は競走車の生産に集中したため,そのほかの自動車産業の中心はミシガン州デトロイトに移り,州内の自動車生産はおもに部品専門である。州北西部にはUSスチール会社の製鉄業で名高いゲーリーがあるが,隣州内シカゴの衛星都市としての性格が強い。
執筆者:正井 泰夫+岡田 泰男
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