イーストアングリア地方(読み)イーストアングリアちほう(その他表記)East Anglia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イーストアングリア地方」の意味・わかりやすい解説

イーストアングリア地方
イーストアングリアちほう
East Anglia

イギリスイングランド東部の地方名。北はウォッシュ湾から南はテムズ川河口の三角江(エスチュアリー)まで,北海に面して広がる地方で,ノーフォーク県サフォーク県の全域,およびケンブリッジシャー県エセックス県の各一部を含む。全体に低平で,氷河堆積物,沖積土に覆われ,肥沃穀倉地帯となっている。ブリトン人以来,集落の歴史は古く,ローマ人,アングロ・サクソン人デーン人ノルマン人などが侵入し,集落を形成した。コールチェスターは記録に現れるイングランド最古の都市であり,ローマ時代以前より繁栄した。イーストアングリア王国は,アングロ・サクソン七王国の一つとして 6~8世紀に栄えた。14世紀中頃からフランドルの織物工が多数来住し,羊毛を主とした繊維産業がノリッジを中心として発達,西のブリストルと並んで大いに栄えた。人口は稠密で,エセックス県のフィンチングフィールドにみられるように,大規模な集村をなして住んでいた。今日,主産業は農業で,高度に集約的な農業が行なわれる先進的な農業地帯となっている。オオムギを中心に,カラスムギ,ジャガイモ,サトウダイコンなどが栽培され,市場向け園芸作物の栽培も盛ん。北海沿岸にはクローマーグレートヤーマスローストフトなどの漁港が発達するほか,海浜保養地が多数立地する。ノリッジがこの地方の中心都市で,1963年同市に創設されたイーストアングリア大学にはイーストアングリア研究所が設置されている。

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