エスチュアリー(その他表記)estuary

翻訳|estuary

改訂新版 世界大百科事典 「エスチュアリー」の意味・わかりやすい解説

エスチュアリー
estuary

河川の下流部にある海の入江で,潮汐の影響をうけ,海水淡水が出あい,混合する場所をいう。河口湾と訳される。一般に細長い漏斗状の形態をして,外洋に開口しているものと,出口に砂州があり部分的に閉ざされているものとがある。多くは最終氷期の海面が低かった時代にできた河谷が,後氷期の海面上昇によって溺れ谷となり,その後の堆積作用が相対的に弱いために埋積されず,河口部が水域のまま保持されている所である。テムズ川エルベ川のように,水深が大きいために海上交通と内陸交通の接触点として重要な港湾施設が立地する所も多い。カナダセント・ローレンス川の河口部が世界最大のエスチュアリーといわれている。
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最新 地学事典 「エスチュアリー」の解説

エスチュアリー

estuary

潮汐に由来する言葉で,河口や湾入部などを指す。エスチャリとも。河口部の海水と淡水の混合水域,河口部,またリアス式海岸フィヨルドなどの湾入部,海水準の低下によって形成された谷に海水が流入した溺れ谷などもエスチュアリーに属する。広義には沿岸湖沼のラグーンなども含まれる。潮汐が卓越する河口では,ロート状の形状を示すことから三角江とも呼ばれる。異なった空間スケールを指す場合や,学問分野で定義が異なる場合があるので注意。

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参照項目:三角江

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百科事典マイペディア 「エスチュアリー」の意味・わかりやすい解説

エスチュアリー

河川が海へと注ぐ河口部に生じる海の入り江のことで,三角江とも。出口付近に海流や河川の流下により砂州が形成され一部が閉じたものもあるが,おおむね細長い漏斗(ろうと)状の形態をなす。海面が低下した時代にできた谷が,その後の海面上昇によって溺れ谷(おぼれだに)となり,堆積物がたまって埋まることなく推移した場所である。概して水深が深く,良港として利用されることもある。ドイツのエルベ川や英国テムズ川,カナダのセント・ローレンス川の河口部がその代表例。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エスチュアリー」の意味・わかりやすい解説

エスチュアリー
estuary

海に向って三角形に開いた河口部。海岸平野など,起伏の小さいところの河川が沈水して形成された。河口部はゆるやかで潮汐や海水の影響を強く受ける。三角江ともいう。南アメリカのラプラタ河口,北アメリカのセントローレンス河口,ヨーロッパのエルベ川,テムズ川などがその例。このような河口は大型船舶の遡航が容易な場合が多いので,しばしば大河口港が発達する。ロンドン,ブエノスアイレス,モントリオール,ハンブルクなどはその好例である。

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世界大百科事典(旧版)内のエスチュアリーの言及

【汽水域】より

…川が海に注ぎ込むところには,淡水と海水が混合したところができるが,これを汽水域(または河口域)という。川から流れ込む淡水の量は,集水域の雨量によって不規則に変わる。一方,海水は潮の干満で規則的な上下運動をしている。そのため汽水域の水の塩分濃度は,時刻によっても,また日によっても少しずつ異なっている。汽水域にすむ生物には,塩分濃度のひじょうに広い範囲で生活できるように適応したものが多く,これを広塩性生物とよぶ。…

※「エスチュアリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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