ウマオイ(読み)うまおい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウマオイ」の意味・わかりやすい解説

ウマオイ
うまおい / 馬追い
[学] Hexacentrus japonicus

昆虫綱直翅(ちょくし)目キリギリス科に属する昆虫。林や庭などの低木上を好み、雄は夜間澄んだ張りのある発音で、スイーッチョン、スイーッチョンと鳴く。この発音のようすが、ちょうど馬子(まご)がウマを追う声に似ているというので名づけられた。俗にスイッチョともいう。本州以南に分布する。

 頭から翅端までの体長28~36ミリメートル。全身が明るい緑色であるが、頭から前胸の背面にかけて濃褐色の太い帯があり、雄前翅基部にある発音器部の一部に褐色部分がある。前ばねは、雄では幅広く、雌で細めである。発音器は楕円(だえん)形。前肢(ぜんし)、中肢脛節(けいせつ)には長い棘(とげ)が並び、餌(えさ)の小昆虫を捕食するのに適した形態になっている。雌の産卵管はやや幅広い剣状。1年に1回発生し、成虫は夏から秋にかけてみられる。夜行性で幼虫も肉食性。本州の暖地や九州、四国、南西諸島には、近縁のタイワンウマオイH. unicolor南方から侵入し生息している。

[山崎柄根]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウマオイ」の意味・わかりやすい解説

ウマオイ
Hexacentrus japonicus

直翅目キリギリス科。体長 20~27mm,翅端まで 28~36mm。全体に緑色であるが,頭部から背胸にかけて太い褐色条がある。前翅は雄では幅広いが,雌では細まる。肉食性で,前肢と中肢の脛節にはとげ状突起が並び,他の昆虫類を捕食するのに適するようになっている。成虫は夏から初秋に出現するが,「すいーっちょん,すいーっちょん」と長く鳴く型と,「ずいちょ,ずいちょ」と短く鳴く型がある。クツワムシなどとともに,鳴く虫としてよく知られている。 (→キリギリス , 直翅類 )

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