日本大百科全書(ニッポニカ) 「エスカー」の意味・わかりやすい解説
エスカー
えすかー
eskar
融氷水流の作用による堆積(たいせき)物からなる堤防状の地形。オースÅs(スウェーデン語)ともいう。クレバスなどを伝って、氷河の内部にしみ込んだ融氷水が氷河内部にトンネルをつくると、トンネル内は氷河堆積物(ティルtill)や融氷水流堆積物で埋積されていく。氷河が溶け去ると、トンネルを埋めた砂礫(されき)は、氷河の流動方向に延々と伸びた細長い堤防状の堆積地形をつくる。これがエスカーである。高さは5~50メートル、長さは数キロメートルから100キロメートル以上にも達することがある。北ヨーロッパやカナダなど、氷期に巨大な氷床の末端部となっていた地域に多くみられる。
[小野有五]