エットリンゲン石(読み)エットリンゲンセキ(その他表記)ettringite

デジタル大辞泉 「エットリンゲン石」の意味・読み・例文・類語

エットリンゲン‐せき【エットリンゲン石】

エトリンガイト

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エットリンゲン石」の意味・わかりやすい解説

エットリンゲン石
えっとりんげんせき
ettringite

カルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)の含水硫酸塩鉱物。エトリング石、エトリンガイトともいう。ドイツのライン地方マイエンMayen近郊エットリンゲンEttringenにおいて、白榴(はくりゅう)石‐霞石(かすみいし)テフル岩leucite-nepheline tephriteというケイ酸分に非常に乏しいアルカリ火山岩中に捕獲された石灰岩の岩片の空隙(くうげき)から発見され、以後世界各地で同様の産状のものが確認されている。日本では福島県のスカルン中に微量を産する。自形は六角短柱状であるがまれ。多く羽毛状。いったん高温条件を経験した石灰岩起源のスカルン鉱物が低温高水蒸気圧条件で分解し、本鉱になったものと考えられている。軽量かつ強靭(きょうじん)であるというその特性を生かして、セメント固化の過程でこれに相当する物質が、固化の反応に伴って生成されるよう、原料の調整が行われている。命名は原産地にちなむ。

加藤 昭 2015年12月14日]


エットリンゲン石(データノート)
えっとりんげんせきでーたのーと

エットリンゲン石
 英名    ettringite
 化学式   Ca6Al2[(OH)4|SO4]3・26H2O
 少量成分  Na,Fe,Cr
 結晶系   三方
 硬度    2~2.5
 比重    1.77
 色     白,黄,淡褐
 光沢    ガラス
 条痕    白
 劈開    三方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   純粋なものは水分や酸で分解するので,セメント素材物質は他の成分を加えて耐水性を与えてある

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