国と地方自治体との間で緊急事態に関する情報を電子メールで短時間に伝えるシステム。英語の緊急通信網Emergency Networkを短くした造語で、正式名称は緊急情報ネットワークシステム。有事の際の自治体の対応を定めた国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、平成16年法律第112号)に基づき、国が関係自治体へ、外国からのミサイル発射・通過、航空攻撃、ゲリラ・特殊部隊攻撃など国民の生命・財産に危害を及ぼしかねない危険情報を一斉送信し、早期の避難や予防措置につなげるねらいがある。首相官邸の危機管理センターが行政専用ネットワーク(LGWAN)を活用し、一定の地域を指定して該当自治体へ電子メールで緊急事態情報を1分程度で送信。自治体は強制的に受信して警報音(アラームなど)が鳴り、緊急事態情報を迅速・確実に伝える仕組みである。自治体から首相官邸へ緊急事態を送信することも可能。交通機関や報道機関にも送信される。政府は2006年(平成18)11月から整備を開始し、2009年以降、北朝鮮がミサイルを発射するたびに、「ミサイル発射情報」や「ミサイル通過情報」として発信されている。北朝鮮が長距離弾道ミサイルなどの発射実験を繰り返していることもあって、政府は繰り返しエムネットの発信や訓練を実施しているが、メールを送信できない、誤作動による誤報の発令といったトラブルも起きている。なお緊急事態の警報システムにはエムネットのほかJアラート(全国瞬時警報システム)があるが、エムネットが有事の情報を自治体へ伝えるのに対し、Jアラートは有事以外にも大震災などの災害情報を含め、直接国民へ伝えるという違いがある。
[矢野 武 2018年3月19日]
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