改訂新版 世界大百科事典 「エルランゲンプログラム」の意味・わかりやすい解説
エルランゲン・プログラム
Erlangen program
ドイツの数学者F.クラインは,1872年エルランゲン大学教授就任に際し,幾何学についての見解を含む研究計画を発表し,この中で,幾何学の底流にある本質を見抜いて,当時までの種々の幾何学を統一的観点から論じ,〈幾何学とは,空間とその上に作用する変換群を与えて,その変換群に属するどの変換によっても不変に保たれるようなその空間の図形の性質を研究する学問である〉と主張した。この主張を今日では簡単にエルランゲン・プログラムと呼んでいる。これは当時の多くの数学者に受け入れられて,その後数十年にわたって指導原理となり幾何学の発展に大きく貢献したが,リーマン幾何学の発展はその主張に限界のあることを知らしめた。しかしながら,クラインのこの思想はその後に接続などの概念を生み,現代の数学にも大きな影響を与えている。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報