翻訳|angelfish
硬骨魚綱スズキ目カワスズメ科(シクリッド科)に属する淡水魚。アマゾン川流域とガイアナのエセキボ川水系に分布。代表的な飼育熱帯魚の一つで、飼育されているものはほとんど水槽で繁殖した個体である。体は丸みを帯びた菱(ひし)形で、著しく側扁(そくへん)する。背びれ、臀(しり)びれ、尾びれは大きく、先端が長く伸び、腹びれも糸状に伸びている。体長は10センチメートル以下だが、ひれを入れると全長15センチメートル、高さ20センチメートル以上になる。体の基色は銀白色、体軸を横切る4本の黒帯がある。
飼育は容易で、日本の水道水なら水質に問題はない。適温は25℃前後。繁殖させるには数尾以上いっしょに飼育して、そのなかでつがいをつくらせることが必要である。つがいは産卵場に縄張りをつくって他魚を追い払うのですぐに見分けられる。産卵場所は水草の葉や茎などであるが、水槽中ではプラスチックパイプなどを立てかけて産卵させることが多い。つがいは口で産卵床を掃除したのち、数百個の粘着卵を産み付ける。親は卵の保護をし、卵は50~70時間で孵化(ふか)する。親が卵を食べるときは、産卵床を別の容器に移して孵化させる。
エンゼルフィッシュには、変異形質の固定と交配によって、さまざまな品種がつくりだされている。代表的なものに、ブラックエンゼル、ブラックレースエンゼル、ゴールデンエンゼル、マーブルエンゼル、ベールテールエンゼルなどがある。
エンゼルフィッシュの仲間にはこれまで4種が記載されているが、分類学的には未解決な部分が多い。確実に独立種と思われるのは本種(P. eimekeiという学名がよく使われているが、これはおそらく異名同種)とアルタムエンゼルP. altumだけである。
[多紀保彦]
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…以上の場合,産卵槽には十分成熟し産卵の間近い雌1に対し雄2の割合で入れるのがふつうで,産卵後はすぐに親魚を取り出して,卵の孵化を待ち,さらにそこで稚魚を育てる。 エンゼルフィッシュやジュエルフィッシュ(シクリッド類の大半)は,雌雄がつがいになって,付着卵を産み,その後も雌雄で卵を守り,孵化後も稚魚のめんどうを見る。このような習性の魚は,あらかじめ水槽に産卵床となる石や水草を入れておき,雌雄が繁殖行動に入ったら,それ以外の魚を別の水槽に移して繁殖を待つ。…
※「エンゼルフィッシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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