オウギハクジラ(英語表記)Mesoplodon stejnegeri; Stejneger's beaked whale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オウギハクジラ」の意味・わかりやすい解説

オウギハクジラ
Mesoplodon stejnegeri; Stejneger's beaked whale

クジラ目ハクジラ亜目アカボウクジラ科オウギハクジラ属。体長は約 5.3mに達する。出生体長は推定2~2.5m。体色は黒色で,全身におびただしい数の掻傷と白色傷痕が残るが,特に性的成熟に達した雄に多い。体型は紡錘形で体の中央の体高が最も高い。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。背部から吻端に向う傾斜はきわめてなだらかで,嘴 (くちばし) はとがる。背鰭 (せびれ) は体の後方3分の2に位置し,三角形状で先端は後方に傾く。背鰭後方から尾鰭にかけてキール (稜状の隆起) がある。尾鰭の後縁中央はわずかに切れ込む。下顎口角から前方へかけてやや盛上がり,下顎先端から口角までのほぼ中間に1対の板状の歯がある。歯は雄に限り歯根を突き破り高く突出し,高さ 16~17cm,幅約 10cm以上,厚さ約 2.5cmで,先端は前方を向く。通常5~10頭の群れで行動し,イカ類を捕食する。東は南カリフォルニアからベーリング海にかけて,西は日本海南部まで分布し,北太平洋海盆の大陸棚斜面や大洋域に出現する。サケ流し網で混獲される。日本では日本海を中心に本州北部や北海道で漂着例がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オウギハクジラ」の意味・わかりやすい解説

オウギハクジラ
おうぎはくじら / 扇歯鯨
Stejneger's beaked whale

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目アカボウクジラ科のオウギハクジラ属Mesoplodon総称、およびそのなかの1種。この属の仲間は、体長4~6メートルの中形のハクジラで、体形はやや側扁(そくへん)した紡錘形である。ハクジラ類でありながら痕跡歯(こんせきし)はあるが下あご中ほどに1対の歯しかみえないのが特徴である。

 和名オウギハクジラMesoplodon stenegeriは、体長6メートルに達し、全身が黒色を帯びる。ベーリング海以南の北太平洋に分布し、日本近海では千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)以北海域に回遊する。生息数はきわめて少ない。

西脇昌治

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「オウギハクジラ」の解説

オウギハクジラ
学名:Mesoplodon stejnegeri

種名 / オウギハクジラ
科名 / アカボウクジラ科
日本にいる動物 / ◎
解説 / 生きている個体はほとんど観察されておらず、生態はよくわかっていません。
体長 / 最大記録5.3m
体重 / 約1.5t
食物 / イカ、魚
分布 / 北太平洋とその周辺

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