オゾン分解(読み)おぞんぶんかい(その他表記)ozonolysis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オゾン分解」の意味・わかりやすい解説

オゾン分解
おぞんぶんかい
ozonolysis

アルケンヘキサンなどの不活性溶媒中、室温あるいは低温でオゾンを作用させると、複雑な過程を経てオゾニドとよぶ化合物が生成する。オゾニドは安定ではなく、これに酢酸中で亜鉛末を作用させると分解してカルボニル化合物が得られる。このように、アルケンにオゾンを作用させ、生成するオゾニドを処理すると、アルケンの二重結合を酸化的に開裂させたカルボニル化合物を得ることができる。この過程をオゾン分解という()。

 このようにオゾン分解は、不飽和結合をもつ大きい分子を小さい成分に分解するのに利用されてきた。とくに、構造未知のアルケンを、このように小さい成分のカルボニル化合物として確認することにより、もとのアルケンの構造を決めるのに利用された。

[徳丸克己]


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化学辞典 第2版 「オゾン分解」の解説

オゾン分解
オゾンブンカイ
ozonolysis

オゾンによるアルケンの炭素-炭素二重結合の酸化的開裂反応.反応は,低温下でアルケンにオゾンを作用させて行われ,四置換アルケンからは二つのケトンが,三置換アルケンからはケトンとアルデヒドが生じる.モルオゾニド,さらにモルオゾニドの転位によるオゾニドとよばれる環状中間体を経由することが知られている.低分子量のオゾニドは爆発性を示して危険なため,単離せずに亜鉛存在下,水で処理する.

この反応はハリエス(Harries)のオゾン化反応とよばれている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オゾン分解」の意味・わかりやすい解説

オゾン分解
オゾンぶんかい
ozonolysis

不飽和結合をもつ有機化合物にオゾンを作用させるとオゾニドを生成する。これを水の存在下で分解すると,もとの不飽和結合の部分が切断されて,アルデヒド,ケトン,カルボン酸などが生成する。このような反応をオゾン分解という。炭素-炭素三重結合も容易にオゾン分解されてカルボン酸を生成する。複雑な構造の天然有機化合物の構造決定などに広く利用される。

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世界大百科事典(旧版)内のオゾン分解の言及

【オゾン化物】より

この化合物は一般に粘稠な液体で爆発性がある。水と反応すると分解しアルデヒドやケトンを生ずる(オゾン分解)。三重結合をもつ化合物では次に示すような結合をもつオゾニドが生成すると考えられている。…

※「オゾン分解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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