オリーン(英語表記)Bertil Gotthard Ohlin

改訂新版 世界大百科事典 「オリーン」の意味・わかりやすい解説

オリーン
Bertil Gotthard Ohlin
生没年:1899-1979

スウェーデンの経済学者,政治家。スウェーデン学派の代表的な学者の一人。ストックホルム大学卒。1924年同大で経済学博士号を取得。コペンハーゲン大学教授(1924-29)を経てストックホルム経済大学教授(1929-65)。77年にイギリスのJ.E.ミードとともに,〈国際貿易および国際資本移動の理論における先駆的な貢献〉をたたえられ,ノーベル経済学賞を分け合った。主著《域際・国際貿易》(1933)で,彼は同国の先達ヘクシャーEli Filip Heckscher(1879-1952)の研究(1919)を受け継ぎ,各国の相対的な要素存在量の差異によって比較優位の決定を説明する理論を確立した。これは今日,ヘクシャー=オリーン理論(その中心命題がヘクシャー=オリーンの定理。〈貿易理論〉の項目を参照)の名のもとに,国際分業の基礎理論として広く受け入れられている。その業績は,国際経済学の分野を中心に,貨幣,雇用,経済変動など経済学一般にわたっている。政治家としても成功し,長年にわたってスウェーデン自由党党首(1944-67)の地位にあり,通商大臣(1944-45)の要職についたこともある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリーン」の意味・わかりやすい解説

オリーン
おりーん
Bertil Gotthard Ohlin
(1899―1979)

スウェーデンの経済学者、政治家。ルンド大学、ストックホルム大学に学び、1924年経済学博士。コペンハーゲン大学、ストックホルム商科大学の教授を歴任し、数回にわたりカリフォルニア大学、バージニア大学で客員教授も務めた。政治活動では保守的な立場をとり、1938年上院議員、1944~1945年商務大臣、1946~1967年国民党総裁として活躍した。スウェーデン学派の有力なメンバーであり、国際経済学における貢献は著名である。第一次世界大戦後のドイツ賠償金支払い問題をめぐっては、国際収支調整に関するケインズとの「トランスファー論争」で有名であり、また、国際貿易理論においては、一般均衡分析の適用によりその近代化に大きな業績をあげた。この理論は、主著『貿易理論――域際および国際貿易』Interregional and International Trade(1933)において展開され、ヘクシャー‐オリーンの定理として知られており、国際経済学の基礎理論として重要な位置を占めている。1977年ノーベル経済学賞受賞。

村上 敦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オリーン」の意味・わかりやすい解説

オリーン
Ohlin, Bertil Gotthard

[生]1899.4.23. クリッパン
[没]1979.8.3. バーラーダレン
スウェーデンの経済学者。ルンド大学,ストックホルム商科大学,ストックホルム大学で学び,1924年哲学博士。ストックホルム大学などで教鞭をとり,のち国会議員や商業大臣などをつとめる。北欧学派の有力メンバーの一人で,国際経済学の研究家として出発したが,次第に経済学の一般的領域に研究分野を広げた。 77年 J.ミードとともにノーベル経済学賞受賞。主著"Interregional and International Trade" (1933) ,"International Economic Construction" (36) ,"The Problem of Employment Stabilization" (49) ほか多数。

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世界大百科事典(旧版)内のオリーンの言及

【貿易理論】より

…諸部門の比較生産費構造が国際的に異なるのは風土的条件や生産技術体系の国際的相違を反映するものと解釈される。 これに対して,ヘクシャーEli Filip Heckscher(1879‐1952),B.G.オリーンなどスウェーデン学派の先駆的研究に端を発し,P.A.サミュエルソンによってほぼ完成された要素賦存説は,労働以外にたとえば資本,土地などの生産要素の希少性と生産過程への貢献を認め,その賦存状況の相違に貿易パターンの究極的な説明原理を求めるものである。簡単のため,自国と外国が労働,資本という二つの生産要素を用いて衣料,機械という二つの財を生産するものとしよう。…

※「オリーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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