オージエ(読み)おーじえ(英語表記)Émile Augier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オージエ」の意味・わかりやすい解説

オージエ
Augier, (Guillaume Victor) Émile

[生]1820.9.17. ドローム,バランス
[没]1889.10.26. パリ
フランスの劇作家。同時代の小デュマと並び称される。ロマン派が衰退してきた頃に,ポンサールに続き韻文悲劇作家として登場。この時期の作品には『毒にんじん』 La Ciguë (1844) があるが,1849年の風俗喜劇ガブリエル』 Gabrielleによって作家としての方向が定まった。以後はフランス第二帝政下の風俗,世相題材として,ブルジョア階級の道徳を肯定し,ロマン派と対峙する姿勢を保った。代表作としては『ポアリエ氏の婿』 Le Gendre de M. Poirier (54) がある。 57年アカデミー・フランセーズ会員。その他『オランプの結婚』 Le Mariage d'Olympe (55) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オージエ」の意味・わかりやすい解説

オージエ
おーじえ
Émile Augier
(1820―1889)

フランスの劇作家。処女作『毒にんじん』(1844)はポンサール流の韻文であるが、5年後の『ガブリエル』(1849)は手法は旧套(きゅうとう)を脱したものの思想的にはモラリストの立場を強調した風俗劇である。第二帝政時代の新興成金と没落貴族の結婚によって生じた金と爵位相克を描いた『ポワリエ氏の婿』(1854)が代表作で、写実的演劇先駆として評価される。そのほか『オランプの結婚』(1855)、『恥知らずの人たち』(1861)、『ジボワイエの息子』(1862)などの作品がある。

[本庄桂輔]

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