著作権者の身元や所在の確認ができない状態にある著作物、映像、音楽などの作品。著作物の著作隣接権、所有権、肖像権などの権利の帰属が不明であることを含んだ意味でも用いられる。オーファンは英語で孤児や親のない子という意味で、孤児著作物、孤児作品、権利者不明作品、オーファン作品ともいう。国会図書館の2010年(平成22)の調査によれば、明治期に刊行された所蔵図書のうち、全著作者の約71.1%にあたる5万1712人について、著作権の有無が不明であった。また、テレビ番組や記録映像などに関しても、権利者不明の作品が多数存在していると見込まれている。近年、過去に制作された著作物をデジタルデータとして複製し、インターネット上で公開・販売する動きがあるが、権利者が不明のために許可を得られず、そのまま作品を公開すれば著作権侵害になってしまうケースが世界的に問題になっている。
オーファンワークスを利用するため、日本では、2009年に著作権法が改正され、著作権者に加え、著作隣接権者不明等の場合にも裁定制度が適用されるようになった。裁定制度は、他人の著作物や実演(歌手の歌唱や演奏、俳優の演技など)、レコードやCDなど、放送番組または有線放送番組を利用(出版、DVD販売、インターネット配信など)するとき、「相当な努力」を払っても権利者やその所在がわからない場合には、権利者にかわって文化庁長官の裁定を受け、通常の著作権使用料額に相当する補償金を供託することで利用可能にするものである。ヨーロッパ連合(EU)では孤児著作物指令案が2012年9月に可決され、オーファンワークスを非営利利用に限って自由に利用できるようになった。アメリカでは非営利だけでなく、商用利用も可能とする法案が検討されている。
[編集部]
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