日本大百科全書(ニッポニカ) 「カエルウオ」の意味・わかりやすい解説
カエルウオ
かえるうお / 蛙魚
mottled blenny
[学] Istiblennius enosimae
硬骨魚綱スズキ目イソギンポ科に属する海水魚。兵庫県以南の日本海、千葉県以南の太平洋から九州に分布する。体はやや側扁(そくへん)し、細長い。頭の前端はほとんど垂直で、目はその上縁にあり、昆虫のトノサマバッタのようにみえる。頭頂には大きいとさか状の皮弁がある。雌雄で色斑に差はない。
岩礁域の潮だまりにすみ、岩の表面に付着している微細な藻類を食べる。驚くと水中の岩の間に隠れるが、ときには岩の上に出て、胸びれと尾びれを使ってカエルのように跳びはねて、別の潮だまりに逃げ込む。夏に石の下に卵を産み、雄はこれを保護する。全長15センチメートル余りになる。食用としての価値はない。日本の沿岸には70種近くが知られているが、ほとんどは南日本の岩礁域やサンゴ礁にすむ。
[尼岡邦夫]