カラカルパク語(読み)カラカルパクご(英語表記)Karakalpak

改訂新版 世界大百科事典 「カラカルパク語」の意味・わかりやすい解説

カラカルパク語 (カラカルパクご)
Karakalpak

中央アジア,ウズベキスタン共和国カラカルパクスタン自治共和国をはじめウズベキスタンの他の地域やアフガニスタンでも話されている言語。1989年現在,ソ連内に61万5500人のカラカルパク人がいて,そのうち90%以上がこの言語を母語とする。カラカルパクスタン自治共和国の最も有力な言語ではあるが,同国に住むカラカルパク人は総人口の約3割を占めるにすぎず,ほかにウズベク族カザフ族が多い。言語の系統としてはチュルク諸語に属し,カザフ語ノガイ語に近い。1940年以降ロシア文字による正書法が行われている。トルコ(共和国)語の語末のç[tʃ]がш[ʃ]に変わり,それに押し出されて,шがc[s]に変わった。kaш-〈逃げる〉(トルコ語kaç-),ɕac〈頭〉(トルコ語baş)。これはカザフ語と共通の特徴である。しかし,複数接辞はカザフ語と違って,トルコ語と同じ-лaр(男性語の場合)を用いる。aтлaр〈馬たち〉(カザフ語aттaр)。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラカルパク語」の意味・わかりやすい解説

カラカルパク語
からかるぱくご
Karakalpak

ウズベキスタン共和国内の北西部にあるカラカルパク自治共和国で約40万人(1989)が使用している、トルコ系諸言語の一つ。アフガニスタンにも1万人以上のカラカルパク人が住んでいる。トルコ語族のうち中央語派に属し、カザフ語ときわめて近い関係にある。北東方言と南西方言に分かれるが、前者文語基礎となっている。正書法はアラビア・ペルシア文字から、1928年にラテン文字へ、そして40年からはキリル文字のものを採用していたが、94年ラテン化が決定された。

[竹内和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラカルパク語」の意味・わかりやすい解説

カラカルパク語
カラカルパクご
Karakalpak language

ウズベキスタンのカラカルパク自治共和国を中心隣接の諸共和国とアフガニスタンで話される言語。チュルク諸語の一つで,キルギス語などとともにその北西方言 (キプチャク方言) に属する。特にカザフ語とは,その一方言といってもよいほど近い関係にある。話し手約 40万人。ロシア文字による文字言語を有する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android