カタカイガラムシ(その他表記)soft scale

改訂新版 世界大百科事典 「カタカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説

カタカイガラムシ
soft scale

半翅目カタカイガラムシ科Coccidaeの昆虫総称。日本から約60種が知られる。明らかな虫体被覆物をつくらず,成熟すると体皮が著しく硬化する種が多いのでこの名がある。しかし,なかにはロウムシ類のようにのり状の分泌物で厚く覆われるものや,ワタカイガラムシ類のようにほとんど硬皮せず,成熟すると綿状の分泌物で卵囊を形成する種もある。虫体はほぼ円形楕円形で,扁平なものや背面が著しく隆起して球形となるものなど多様。カイガラムシの中では比較的大型の部類に属し,体長1cmに達する種もある。終生,脚を有するが,ほとんど一生を植物に固着して寄生生活をし,汁液を吸収,加害するほか,排泄液(甘露)にすす病を誘発する。各種果樹・植木類に寄生するイボタロウカイガラムシルビーロウカイガラムシなどのロウムシ類,ツバキ,モッコク,モチノキなどにつくツバキワタカイガラムシ,観葉植物を加害するハンエンカタカイガラムシヒラタカタカイガラムシなどが著名。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カタカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説

カタカイガラムシ
かたかいがらむし / 堅介殻虫

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目カタカイガラムシ科Coccidaeに属する昆虫の総称。雌成虫は楕円(だえん)形もしくは長円形で、体は扁平(へんぺい)かまたは球形に隆起する。成熟すると表皮クチクラが非常に硬化することからこの名がある。触角や脚(あし)は一般に発達する。幼虫および雌成虫には、腹端に肛隙(こうげき)といわれる割れ目があり、肛門は1対の背板で囲まれる。ルビーロウムシ、カメノコロウムシツノロウムシ、タマカタカイガラムシなどの多くの著名な害虫がこの科に属す。ルビーロウムシのように、天敵ルビーアカヤドリコバチを利用して防除しているものもある。一方、イボタロウムシのように、工業用や薬用のろうがとれる有用種も含まれる。

[林 正美]


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