日本大百科全書(ニッポニカ) 「カッサンドル」の意味・わかりやすい解説
カッサンドル
かっさんどる
A. M. Cassandre
(1901―1968)
フランスのポスター・デザイナー、画家。本名Adolphe Jean-Marie Mouron。ウクライナのハリコフ(現、ハルキウ)で生まれ、1915年からパリに定住。斬新(ざんしん)な幾何学的構成で、1920年代から1930年代にかけてのフランスのポスター界に新風をもたらした。その手法は立体派風とも純粋主義風ともいわれるが、むしろポスターからの「絵画性」を除外して、ポスター独自の世界を築いた点に意義がある。単に構成的であるだけでなく、洋酒会社のポスター(1932)などの奇抜な着想によっても知られている。1936~1938年はアメリカで仕事をしたが、帰国後はポスター作家の道を捨て、絵画と舞台装置に専念した。
[高見堅志郎]