日本大百科全書(ニッポニカ) 「カメラ・ショット」の意味・わかりやすい解説
カメラ・ショット
かめらしょっと
camera shots
カメラを据える位置や角度、あるいはその回転や移動によって得られる多様な視野の画像の形態上の分け方をさしていうことが多い。カメラと被写体の関係でみれば
1 動かない被写体と動かないカメラ
2 動く被写体と動かないカメラ
3 動かない被写体と動くカメラ
4 動く被写体と動くカメラ
というようになる。1から4に向かうに従ってショットは豊富になり、カメラ操作の技術は高度になる。1、2は通常のスチルカメラの場合にも当てはまる。1人の被写体の構図のショットの種類には、ロング、ミディアム、ウエスト、バスト、アップ、クローズ・アップとよばれるものがある。被写体が2人、3人、4人の場合にはツー・ショット、スリー・ショット、フォア・ショットとよばれ、それ以上はグループ・ショット、マス・ショット、さらに全体の情景はフル・ショット、さらに広くとる場合はロング・ショットなどと指示される。ロング・ショットの対極がクローズ・アップである。カメラを動かす場合、水平に振ることをパン、上下に振ることをチルト、高さを上下することをブーム、近づいたり遠のいたりすることをドリー、被写体との間の距離を保ちながら横に移動することをトラックという。これらカメラを動かすことによって得られるショットが、映画やテレビのカメラ・ショットである。
カメラ・ショットは、スチルの場合も含めて、カメラを媒介にして表現するメディアにとって、決定的な意味をもつものであり、カメラマンやディレクターなど表現をする人の演出意図に深く関係してくるという点で重要視される。
[後藤和彦]