ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルドゾ」の意味・わかりやすい解説
カルドゾ
Cardoso, Fernando Henrique
ブラジルの政治家,社会学者,教育者。大統領(在任 1995~2003)。1958年にサンパウロ大学の社会学部教授となったが,1964年に軍事政権が発足するとブラックリストに掲載され,国内の大学で教えることを禁じられた。国外へ亡命し,チリのサンチアゴやパリで教えながら,途上国と西欧諸国の関係について研究を続けた。1968年ブラジルに帰国するとブラジル分析企画センターを設立し,左翼系野党勢力の第一人者との評価を確立した。1986年にサンパウロから上院議員に選出されて政界に入り,1988年に中道左派のブラジル社会民主党の結成に参加した。1992年フェルナンド・コロル・デ・メロ大統領が汚職のため弾劾告発され,イタマール・フランコが後任大統領となると,外務大臣に就任。1993年5月には財務大臣となり,数々の交渉をとりしきってインフレーション対策を打ち出した。1994年大統領選挙に立候補し,実業界の支持を得て圧倒的な勝利を収めた。在任中は民営化や海外投資の増強を含むさらなる経済改革を推し進める一方,教育や社会福祉にも力を注いだ。1997年大統領の再任を認める憲法改正が成立し,任期 4年の 2期目を務める最初の大統領となった。しかしこの頃までにブラジルは深刻な財政問題に直面するようになり,財政赤字の削減や海外からの融資確保のために,支出削減や増税などの緊縮財政計画をとらざるをえなくなっていた。大統領の 3選を禁じる憲法の規定により 2003年に退任した。
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