カルノタウルス(読み)かるのたうるす(英語表記)carnotaur

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルノタウルス」の意味・わかりやすい解説

カルノタウルス
かるのたうるす
carnotaur
[学] Carnotaurus sastrei

竜盤目獣脚類(亜目)ケラトサウルス類(下目)ネオケラトサウルス類Neoceratosauriaに属する恐竜。南アメリカ・アルゼンチン白亜紀後期、約8350万年~6550万年前の地層から産出した。二肢歩行の肉食恐竜で、全長約7.5メートル、推定体重は約1トンとされる。とくに異様な外見が頭部に示されている。ギリシア語で「カルノ」は角(つの)、「タウルス」は牡牛(おうし)という意味で、ここから察せられるように、目の上の平たい角は、ほかの獣脚類には例をみない大きさであったが、これは仲間うちの争いで突き合わせる程度の用途しかなかったのではないかといわれる。頭骨は全体的に風変わりで、長さのわりには高さがあり、つくりが頑丈である。頭骨の長さは60センチメートル近くある。一方、下あごはとてもきゃしゃで、上あごとのかみ合せも頑丈とはいえない。歯もむしろほっそりしているので、かむ力の強さを示唆する頭骨と下顎骨(かがくこつ)や歯の特徴が対照的で、奇妙な印象を与えている。獣脚類にしては目が小さいことは、眼窩(がんか)をくぎる骨のために眼球の入る場所が狭くなっていることからわかる。角を突き合わせて戦ったときに、目が傷つかないように保護されていたのかもしれない。鼻先の幅は広いので、鼻の器官も大きかった可能性がある。この恐竜がどんな獲物をどのようにしとめていたのかはわからない。前肢がとても小さく、前腕部が極端に縮小している。指は短いとはいえ4本あるが、どう使ったか不明。後肢が長く細身なので、たぶん俊足の捕食者ではあったのであろう。ほぼ完全な骨格のほかに、いろいろな部分の皮膚の印象化石が地層に残されていたので、体の表面のようすを知ることができる。たとえば顔面から背にかけてこぶ状の突起が並んでいた。一説によると、この恐竜の角だけでなく特殊化した頭部全体がディスプレーの役をしたのであるという。白亜紀のゴンドワナ大陸(現在の南アメリカ、アフリカ、インド、南極、オーストラリアなど)ではユーラシア大陸と異なる系統の獣脚類が独自の進化を遂げ、カルノタウルスなどを形成した。

[小畠郁生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「カルノタウルス」の解説

カルノタウルス

白亜紀後期に生息した竜盤類獣脚類の肉食恐竜。全長約8メートル。頭部に牛の角のような突起がある。

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