カルロビ・バリ(読み)かるろびばり(その他表記)Karlovy Vary

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルロビ・バリ」の意味・わかりやすい解説

カルロビ・バリ
かるろびばり
Karlovy Vary

チェコボヘミア地方西部、テプラ川がオフジェ川に合流する谷沿いの著名な温泉保養都市。人口5万3857(2001)。第二次世界大戦まではドイツ人の町であり、ドイツ語名をカールスバートKarlsbadという。12の鉱泉飲用による治療に用いられている。伝統的な陶器、ガラス製品、リキュールの生産でも知られる。町名はカール4世にちなみ、600年以上の歴史をもつが、国際的保養地として18世紀に急速に発展し、19世紀に最盛期を迎えた。ゲーテシラーベートーベンショパンゴーゴリマルクスなども滞在し、その記念像や碑、バロック様式の聖マリア・マグダレナ教会や、19世紀につくられたコロネード(湯治客が散策しながら鉱泉を飲むことができる柱廊)やオペラ劇場が残されている。国際映画祭などが催される文化的中心地でもある。1819年8月、メッテルニヒによってドイツに属する九つの領邦の大臣がこの地に集められ、反自由主義的緊急諸法令の制定について決議した(カールスバートの決議)。

中田瑞穂

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改訂新版 世界大百科事典 「カルロビ・バリ」の意味・わかりやすい解説

カルロビ・バリ
Karlovy Vary

チェコ西部,西ボヘミアのテプラTepla川とエルベ川支流オフジェOhře川の合流点に位置する世界的に有名な温泉・保養地。ドイツ名カールスバートKarlsbad。人口5万6000(1991)。第2次世界大戦前まではドイツ人町(1939年のドイツ人5万3300)であった。町名は皇帝カール4世(ボヘミア王,カレル1世)にちなむ。周辺のカルロビ・バリ山塊に源をもつ鉱泉(泉温43~73℃)は飲用・浴用に供される。伝統的な陶器・ガラス工業をはじめ,化学・機械・製材・食品工業が盛んである。町は18~19世紀に急速な発展を見たが,ゲーテ,シラー,ベートーベン,ゴーゴリ,ショパンなどが保養したことを示す碑が町のいたる所にあり,観光の名所となっている。1819年には自由主義運動を抑圧するドイツ連邦議会のいわゆるカールスバート決議がなされた場所でもある。また1年おきに国際映画祭が開かれ,日本は1954年から参加,その年《原爆の子》が平和賞を受けた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルロビ・バリ」の意味・わかりやすい解説

カルロビバリ
Karlovy Vary

ドイツ語ではカルルスバート Karlsbad。チェコ西部,チェヒ (ボヘミア) 地方西部の都市。プラハの西約 120km,ラベ (エルベ) 川の支流のオフジェ川とテプラー川の合流点に位置する。世界的に有名な温泉都市で,1347年に神聖ローマ帝国のカレル (カルル) 4世によって温泉保養地として建設されたといわれるところから,この名がある。 42~72℃のいくつかの泉源に恵まれ,観光,保養のために訪れる人が多い。町が急速に発達したのは 18~19世紀で,ベートーベン,ショパン,ゲーテ,シラーなども訪れている。ガラス製品,陶器,リキュール酒 (ベヘロフカ) は特産。ここで保養した有名人の碑が町のいたるところにあり,観光の名所になっている。1年おきに国際映画祭が開催されている。人口5万 6291 (1991推計) 。

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百科事典マイペディア 「カルロビ・バリ」の意味・わかりやすい解説

カルロビ・バリ

チェコ西部,西ボヘミアの温泉・保養地。ドイツ名はカールスバートKarlsbad。プラハ西方120km,標高374mの谷にある。温泉は神聖ローマ皇帝カール4世によって1349年に創設され,町の名は〈カール王の温泉〉の意を持つ。泉温は44〜72℃で,飲用としても有名。1950年以来カルロビ・バリ国際映画祭が開催される。1819年カールスバート決議が行われた。5万1000人(2006)。

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世界大百科事典(旧版)内のカルロビ・バリの言及

【温泉】より

…この分離された水が処女水である。チェコスロバキアの有名な温泉カルロビ・バリ(旧名カールスバート)温泉の起源について,オーストリアの地質学者E.ジュースは処女水説を主張した(1902)。この地域の降水量に対してカルロビ・バリ温泉の湧出量が著しく多いこと,温泉に含まれる炭酸物質や塩化ナトリウムなどの起源は地下深所のマグマに求めるべきであるというのが理由である。…

※「カルロビ・バリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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