キク科(APG分類:キク科)の半耐寒性多年草。アジア、アフリカの温帯および熱帯の原産で、日本へは明治末年に渡来した。葉は根際に密生し、葉柄は10~15センチメートル、葉身は15~30センチメートル、葉縁は品種により浅く裂けるもの、深く裂けるものなど違いが大きく、表面は深緑色で毛はないが、裏面には綿毛がある。5月に地際から10~50センチメートルの花茎を数本伸ばし、先端に径約10センチメートルの花を1個つける。普通は舌状花が周辺に1、2列放射状に並び、中心は短い筒状花であるが、半八重、八重と多様な花型がみられる。花色は赤、桃、橙(だいだい)、白、淡紫、黄のほか、複色、覆輪などきわめて豊富である。花期は普通は5~11月であるが、7℃あれば寒中でも開花し、15℃以上にすると採花本数を増やすこともできる。一般によく栽培されるのは南アフリカ原産のジェムソニーG. jamesonii Bolusで、花壇用とされるほか、切り花用としてはカーネーション、バラに次ぐ需要がある。また、矮性(わいせい)種も作出され、鉢植え用も増えている。
[魚躬詔一 2022年2月18日]
日当りと排水のよい所ならどこでもよく育ち、秋末までに1株から10本以上開花するが、温室内では年間で1株から50本前後の採花を期待するなら、耕土の深い肥沃(ひよく)地での多肥栽培が必要となる。連作は避け、普通は3年目の春に株分けをし、そのときに植え場所をかえるか、温室内なら土壌消毒をして連作障害を避ける。営利栽培では、生産性と無病性を重視し、1年または2年ごとに成長点培養(メリクロン)による無病苗を利用している。関東地方以北の越冬は、秋に掘り上げ、仮植して覆土するか、花壇の場合は株の上に増土する。高冷地や東北地方、北海道では覆土または増土の上をさらにビニルで覆うなどの処置が必要である。実生(みしょう)も可能であるが、箱播(はこま)きして本葉3、4枚のとき2.5号鉢に植え、30~40日経って根が十分張ったころ定植するなど苗作りには注意を要する。
[魚躬詔一 2022年2月18日]
南アフリカ原産のキク科の多年草であるG.jamesonii Bolusを基本に品種改良された園芸植物。属名Gerberaは,ドイツの科学者ゲルバーT.Gerberを記念してつけられたといわれる。英名Transvaal daisyは,原種の産地,南アフリカ,トランスバール地方から,また和名のオオセンボンヤリは,日本産の同属植物センボンヤリの大型種というところからついた。G.jamesoniiは1870年代に発見され,これに南アフリカ産のG.viridifolia Sch.が交配された雑種から,多くの優秀な品種が20世紀になって生まれた。なかでもフランスのアドネM.Adnetによる品種改良は有名である。また近年,オランダにおいて品種改良が進められ,花径15cmにも及ぶ巨大輪系品種が作出され,日本での栽培もほとんどがこのオランダ系大輪品種群によって占められている。花言葉は神秘。
タンポポ状の切れ込みのある濃緑色葉を根生して茂り,葉間より30~50cmくらいの花茎を出して,その頂に,細長い舌状弁を細かに配列する径10~12cmくらいの頭状花を1個咲かせる。花色は,赤,桃,黄,白,橙など多彩である。四季咲性で,露地栽培の場合,日本では冬季は葉が枯れて休眠をするが,熱帯地方や,温室内では周年開花する。一般には一重咲品種が多いが,八重咲品種もある。花壇用のほか,鉢物としても楽しまれ,また切花としての需要が多い。かなり耐寒性のある宿根草で,寒冷地以外では戸外でもよく越冬する。日当りのよい所へ植え,石灰を施して酸性の中和をはかって栽培をする。繁殖はおもに春に株分けを行うが,オランダ系の大輪種は種子繁殖によっても栽培され,春まけば,秋には花を咲かせ始める。大輪系品種はやや耐寒性低く,フレーム越冬をするとよい。
執筆者:柳 宗民
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