改訂新版 世界大百科事典 「キノボリ」の意味・わかりやすい解説
キノボリ (木登)
Australian treecreeper
スズメ目キノボリ科Climacteridaeに属する鳥の総称。この科にはキバシリ科に似た1属6種の小鳥が含まれる。全長12~18cm。背面灰褐色ないし黒褐色で,のどや脇に著しい縦縞がある。オーストラリアとニューギニアに分布し,森林やサバンナに生息する。昆虫類やクモ類を食べ,地上で採食する場合もあるが,キバシリのように幹や枝を下から上へ登りながら,樹皮の下や葉の裏に潜む餌をあさる。このため,くちばしは細く少し下に曲がり,足は長く,指とつめはよく発達している。しかし,尾羽はキバシリのように堅くなっていない。キバシリ科との形態や習性の類似は,おそらく採食行動の類似による相同homologyであろうと思われる。巣は,幹や倒木の裂け目に枯草,樹皮,コケ,毛,羽毛などを集めてつくられる。1腹の卵はふつう2~3卵。営巣,抱卵,育雛(いくすう)は雌雄交代で行うらしいが,その他の繁殖習性については未知の点が多い。また,他の科との類縁関係も明らかでない。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報