キブラ(英語表記)qibla

改訂新版 世界大百科事典 「キブラ」の意味・わかりやすい解説

キブラ
qibla

〈向かう方向〉を意味するアラビア語であるが,とくにイスラム教徒礼拝の際に向かう方向を意味する。ムハンマドメディナへのヒジュラ直後,その地のユダヤ教徒の制度を取り入れ,エルサレム神殿をキブラとしたが,624年2月,これをメッカカーバに改め,現在に至っている。モスクはキブラを示すミフラーブ中心に構成され,キブラを正しく定めることが測地学発達に貢献した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キブラ」の意味・わかりやすい解説

キブラ
qibla

イスラム教徒が礼拝の際に向う方角。当初ムハンマドはエルサレムの方角に向って礼拝することを決めたが,ユダヤ教徒と敵対するにいたった 624年,神の啓示によってメッカのカーバ神殿の方角に向って礼拝することを示唆されたという。以後イスラム教ではカーバ神殿信仰の中心とし,全世界のモスクは例外なくその中軸線がメッカの方角,すなわちキブラと一致するように建てられている。また,このキブラの目印として,礼拝室の最奥の壁にはミフラーブが設けられる。

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百科事典マイペディア 「キブラ」の意味・わかりやすい解説

キブラ

イスラムにおける礼拝の方向。ヒジュラののち,エルサレムを向いて礼拝するユダヤ教の伝統に従っていたが,624年,メッカのカーバ神殿に向かって礼拝するよう改められ,今日に至っている。
→関連項目メッカ

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「キブラ」の解説

キブラ
qibla

アラビア語で,ムスリムが礼拝の際に向かう方向のこと。もとはイェルサレム神殿をさしたが,ヒジュラ後にメッカカーバ神殿の方向に変更された。モスクにはキブラの目印としてミフラーブが設けられている。

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世界大百科事典(旧版)内のキブラの言及

【ミフラーブ】より

…イスラムの礼拝堂モスクの四壁のなかで,とくに聖地メッカの方向に面する側の内壁に設けられるアーチ形のニッチ(壁龕)。主軸となる中央廊(幅広く一段高い)とキブラ壁との接点などに設置されることが多いが,小型のミフラーブが数基加えられることもある。イスラム教徒はメッカの方角(キブラ)に向かって礼拝を行うが,ミフラーブはキブラの表象といえる。…

【メッカ】より

…イスラムが大帝国をつくりあげたのちも,為政者たちは地政学的な理由からこの町を首都にすることはなかったが,宗教心あつく,敬虔な信者たちは,神の家とされるカーバのあるメッカに特別な憧憬の念をもちつづけ,優れた学識者たちがここに移り住んでいる。 すべての信者たちが礼拝を行う際のキブラ(礼拝の方角)にあたり,一生涯に一度は可能な限りここに巡礼を行うことが義務づけられているこの町は,信者たちの統一,連帯のために象徴的な役割を果たしている。カーバの一角に据えられた黒石は,ちょうど地上の時を確定するための方便として定められたグリニジ天文台の定点のように,信者たちの神との精神的交流のための定点となっている。…

※「キブラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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