キムジャン(読み)きむじゃん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キムジャン」の意味・わかりやすい解説

キムジャン
きむじゃん

冬の間に食べるキムチ晩秋から初冬にかけて漬けこむ年中行事。朝鮮半島の冬は寒冷で新鮮な野菜が少なくなるため、そのかわりとして保存食のキムチを食べて不足するビタミンCを補ってきた。そのため、キムジャンでつくられたキムチを、野菜がとれない冬の間の食糧という意味から「冬の半糧食」ともいう。キムジャンということばは、キムチの語源とされる「沈菜(シムチェ)」を漬けて貯蔵する「沈蔵(シムジャン)」に由来する。

 キムジャンは、立冬の前後の最低気温0℃以下、一日の平均気温が4℃以下のころに行われる。これはキムチが発酵食品であり温度管理が重要なためである。韓国の気象庁はキムジャンの時期を知らせるためのキムジャン前線の予報を行っている。

 キムジャンでは白菜キムチほか数種類のキムチを漬け込むが、3~4か月分の量を大人数分まとめて漬け込むため、一家族だと白菜だけで50株になることもある。また、漬け込み作業に2~3日かかるため、家族や周囲の人と共同で助け合いながら作業をし、互いのキムチを分けたり、漬け方について情報交換をしたりする。この分かち合いやコミュニケーション文化が評価され、2013年に「キムジャン文化」が国連教育科学文化機関ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。しかし、生活都市化や貯蔵方法の変化によって、まとめて大量に漬け込む必要が少なくなり、その規模は小さくなっている。

[武井 一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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