日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャニオニング」の意味・わかりやすい解説
キャニオニング
きゃにおにんぐ
canyoning
渓谷(キャニオンcanyon)を流れる川をボートやカヌーを使わずに下るスポーツ。日本では登山の一種として、川に沿って山を登る沢登り(シャワークライミングshower climbing)が盛んである。キャニオニングはこれとは逆に、沢を下ることを楽しむもので、渓谷の地形にあわせて歩いたり、滝壺(たきつぼ)に飛び込んで泳いだり、岩場でザイルを使って懸垂下降するなど、登山やクライミング、水泳などの技術を使う。装備はヘルメット、ウェットスーツ、救命胴衣、ハーネス(命綱を結ぶために腰に付ける安全ベルト)、ザイルやアンカーなどで、体一つで流れに任せて滑り降りるため、水量や水深があまりない場所でも楽しめる。
フランス発祥のスポーツで、世界中で広く行われている。日本でも愛好者が増えており、谷川岳周辺のみなかみ町(群馬県)、四国の四万十(しまんと)川上流部(高知県)、球磨(くま)川(熊本県)などが、渓谷美も楽しめるキャニオニングスポットとして有名である。また、日本ならではの渓谷美を楽しめることから海外からのツアー客も増えている。
一方、装備を最小限におさえ、体一つで行うことから事故につながりやすい面も否定できない。みなかみ町では過去の死亡事故などを受け、2013年(平成25)から安全基準を定めた条例を施行している。
[編集部]