キャンバスワーク(その他表記)canvas work

改訂新版 世界大百科事典 「キャンバスワーク」の意味・わかりやすい解説

キャンバス・ワーク
canvas work

粗い平織の手芸用布(キャンバス)の織糸にそってししゅうする技法総称。キャンバス・エンブロイダリー区限刺繡(ししゅう)ともいい,アメリカではニードル・ポイントneedle pointという。この技法は,古くからあるプチ・ポアン(テント・ステッチ),グロ・ポアン(クロス・ステッチ)などが代表的な刺し方で,土台布の織糸をすくって縦,横,斜めの方向に刺すので,図柄は織り目にそって構成され,布全体を刺すと織物風になる。

 すでに古代エジプトやローマで行われ,12世紀には教会関係の祭服,祭壇おおい,掛布などの装飾に用いられ,ドイツ製の祭服が現存している。15世紀にはフィレンツェで炎のようなジグザグ模様のフロレンティーン・ステッチが考案され,椅子張り,パネル,祭壇おおいなどに使われた。16世紀に西アジア製のじゅうたんの使用が盛んになると,それらを模倣して厚みの出るベルベット・ステッチが考案され,トルコ・ワークと名づけられて手刺しのじゅうたんが作られた。また細い毛糸でテーブル・クロスなども作られた。17世紀以後は布張りの椅子など室内装飾品に扱われることが多く,デザインは時代によって変化した。イギリスでは17世紀のジャコビアン様式のししゅうが暗色のバックに花や果実の図柄を扱い,18世紀には図柄が洗練されて淡色のバックに変化し,ドイツ,オランダなどにも独特のものが考案された。1810年ベルリンで方眼紙に印刷した複製画の色刷り図案が売り出され,それをもとにベルリン製の高級毛糸で刺したベルリン・ワークが流行した。やがてイギリスのW.モリス植物などの独自のデザインを発表し,それはアール・ヌーボーへと引き継がれた。20世紀には一時下火になったが,1960年代初めにヨーロッパ,アメリカなどでふたたび盛んになり,その影響は日本にも及んでいる。
刺繡(ししゅう)
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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