日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンカメムシ」の意味・わかりやすい解説
キンカメムシ
きんかめむし / 金椿象
金亀虫
shield-backed bugs
昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目カメムシ科キンカメムシ亜科Scutellerinaeに属する昆虫の総称。学者によっては独立した1科とすることがある。中形から大形のカメムシで、体は円形から楯(じゅん)形。小楯板が発達して大きく、はねと腹部背面のほぼ全体を覆う。多くは緑、紫、赤などの金属光沢のある美しい種で、熱帯地方を中心に多くの種が知られる。
日本には約10種が分布し、金緑色の地に紫赤色の細い条(すじ)があるアカスジキンカメムシPoecilocoris lewisiはもっとも普通にみられる。ツゲやツヅラフジにすむといわれるニシキキンカメムシP. splendidulusは日本でもっとも美しいカメムシで、藍(あい)色ないし濃緑色の金属色の地に紫紅色の波状紋をもつ。本州以南に分布するオオキンカメムシEucorysses grandisは、体長25ミリメートルにもなる大形種で、体は光沢のある赤橙(せきとう)色で黒紋があり、アブラギリに生息する。沖縄県地方にすむアカギカメムシは、母親が卵塊を保護することで有名である。イネ科草本などにすむチャイロカメムシEurygaster sinicaは、色彩がじみで、体は光沢のない褐色である。なお、アカスジキンカメムシとニシキキンカメムシは終齢(5齢)幼虫で越冬する変わり者である。
[林 正美]