フサモ(読み)ふさも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フサモ」の意味・わかりやすい解説

フサモ
ふさも / 房藻
[学] Myriophyllum verticillatum L.

アリノトウグサ科(APG分類:アリノトウグサ科)の多年生水草。キツネノオともいう。茎は柔らかくて著しく分枝し、秋に葉腋(ようえき)から芽を出して越冬する。葉は4枚輪生し、水中葉は羽状に細裂し、水上葉は線状長楕円(ちょうだえん)形で長さ1~1.5センチメートル。5~7月、水上葉の葉腋に花を開く。雌雄同株。4弁花で、雄花は上部につき、弁花は長さ約3ミリメートル、萼筒(がくとう)は4裂する。雌花下部につき、萼筒は壺(つぼ)状で四つの溝がある。果実は卵球形。池沼に多く生え、北海道から九州、および北半球温帯に広く分布する。全体がホザキノフサモによく似るが、ホザキノフサモは穂状花序をつくるので区別される。

[小林純子 2019年10月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フサモ」の意味・わかりやすい解説

フサモ(総藻)
フサモ
Myriophyllum verticillatum; water milfoil

アリノトウグサ科の水生の多年草で,キツネノオともいう。北半球の温帯全域に広い分布をもち,日本全土の池や沼,たまり水に生える。茎は長く伸びて 50cmに達することもある。葉は4枚が輪生し,水中のものは長さ3~4cmで細く羽状に分裂するが,水上に出る葉は長さ1~2cmの線形をしている。5~7月に,水上葉の葉腋に白色の小さな4弁の花を単生する。雌花と雄花があり,雌花は茎の下部につく。なお,同属の近縁種ホザキノフサモ M. spicatumは全体に小型で穂状の花序を水上に出す。細かく裂けた輪生葉が美しいので,キンギョモと称して金魚鉢に植える。ただキンギョモの名は別科のマツモ別名としても使われる。

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