改訂新版 世界大百科事典 「キンランチョウ」の意味・わかりやすい解説
キンランチョウ (金蘭鳥)
red-bishop
Euplectes orix
スズメ目ハタオリドリ科の鳥。スズメより小さく,全長約13cm。雌雄異色。雄の生殖羽は全体に赤みの強いオレンジ色で,顔と腹部は黒く,翼と尾は褐色。後頸(こうけい)に襟巻状のオレンジ色の飾羽がある。非生殖羽の雄と雌は似ており,淡黄褐色に暗色の縦斑が散在している。サハラ砂漠以南のアフリカに広く分布している。水辺の草原に多く,草の種子を食べる。農耕地に大群で現れ,穀物に大害を与えることがある。草地やヨシ原に集団で繁殖するが,その中で雄は強いなわばり性を示し,首の飾羽を逆立て,羽音を立てて空中停止をしながらディスプレーをする。一夫多妻で,雄は2~4羽の雌を一つのなわばりの中へとり込む。卵型の巣をつくり,1腹2~4個の卵を産む。非繁殖期には大群でヨシ原で眠る。姿が美しいので飼鳥として輸入されるが,飼育はむずかしい。禽舎(きんしや)に庭木を植えて飼うとよく繁殖する。
執筆者:中村 登流
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報