日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギャップイヤー」の意味・わかりやすい解説
ギャップイヤー
ぎゃっぷいやー
gap year
大学の入学前、在学中、卒業してから就職するまでの間などを利用して、ボランティア活動やインターンシップなどの社会活動体験、海外留学などをするための猶予期間。イギリスで始まった習慣で、大学入学の資格を得た後、入学前の1年間程度をあてる者が多く、この期間に行うアルバイトによって大学の学費を用意する学生も少なくない。海外におけるギャップイヤーには大きく分けて二つの形態がある。一つはイギリスのように大学側は関与せず、学生自らが留学やインターンシップを企画し、資金調達も自分で行う大学非関与型で、もう一つはアメリカの一部で採用されている、学生の自主性を尊重しつつも活動プログラムを大学側が提供する大学プログラム型である。日本ではギャップタームgap termともよばれていたが、国際的にギャップイヤーが通用することからギャップイヤーの呼称が使われるようになっている。
2014年(平成26)5月に発表された文部科学省高等教育局大学振興課大学改革推進室による意見書「学事暦の多様化とギャップイヤーを活用した学外学修プログラムの推進に向けて」によると、イギリスでは全学生の6%がギャップイヤーを自主的に利用し、3~24か月の留学や社会体験活動を行っている。また、ギャップイヤーの経験者と未経験者を比較すると、就学後の意欲や企画力・忍耐力・適応能力・時間管理能力などの面で、経験者のほうに高い教育効果が現われるという報告がなされている。
日本では、大学における留年や留学が空白期間ととらえられ、就職面でマイナスに作用する慣習が根強かった。これをふまえて2007年の教育再生会議第二次報告において、秋入学の促進と日本版ギャップイヤーの導入が提言され、大学プログラム型を中心にギャップイヤーをサポートする体制が整いつつある。大学以外でも、産官学が連携した海外留学支援制度や体験活動奨励制度をはじめ、国際的な社会的体験活動を支援する民間団体などの創設の動きがみられる。
[編集部]