ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギュル」の意味・わかりやすい解説
ギュル
Gül, Abdullah
トルコの政治家。首相(在任 2002~03),大統領(在任 2007~14)。1971年イスタンブール大学で経済学の学位を取得後,イギリスのエクセターの大学院で学んだ。帰国して 1983年に経済学博士号を取得したのち,サウジアラビアのジッダでエコノミストとしてイスラム開発銀行に勤務した。1991年福祉党の国際広報担当となって政治活動に専念,のちに福祉党のネジメティン・エルバカンを首班とする連立政権で入閣した。軍部の圧力により福祉党が解散させられると,エルバカン派から分離した改革派グループの指導者の一人として公正発展党を結成。2002年の議会選挙直前,イスタンブール市長で公正発展党党首のレジェップ・タイップ・エルドアンが投獄されたのをうけて,党首代行になった。選挙では公正発展党が絶対多数を占め,エルドアンが政界復帰を許されるまで 4ヵ月間首相を務めた。2003年エルドアン内閣の外務大臣に就任。トルコのヨーロッパ連合 EU加盟に向けて努力し,交渉の手腕家でありながら対決姿勢をとらないことで高く評価された。2007年4月公正発展党によりアフメット・ネジデット・セゼル大統領の後継に指名され,選挙での公正発展党の圧倒的な勝利を経て,2007年8月大統領に選出。宗派や民族の出自にかかわらず国民全員のために働くと主張した。2008年9月にトルコ大統領として史上初めてアルメニアを訪問し,翌 2009年両国は関係正常化をはかることに合意した。
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