クアラルンプール宣言(読み)クアラルンプールせんげん(英語表記)Kuala Lumpur Declaration

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クアラルンプール宣言」の意味・わかりやすい解説

クアラルンプール宣言
クアラルンプールせんげん
Kuala Lumpur Declaration

1971年 11月東南アジア諸国連合 ASEANの第1回特別外相会議で採択された「東南アジア平和・自由・中立地帯」 Zone of Peace,Freedom and Neutrality; ZOPFAN構想。東南アジア中立化宣言ともいう。マレーシア首相アブドゥル・ラザクの「大国による保障」を骨子とする東南アジア中立化構想が下地となり,1970年代初頭の ASEAN域内関係の好転を受けて ASEAN初の対外的イニシアティブとなったもので,東南アジアが (1) 平和・自由・中立地帯として域外大国から干渉されず,(2) 域内の団結と協力を拡大する,という戦略的目標を掲げる。当時アメリカのベトナム介入,英米の撤退傾向,中ソの攻勢,米中和解そして ASEANへの共産主義脅威といった「ベトナム後」への状況変化が起っていた。したがって ZOPFANは ASEAN域内関係の安定化と団結をはかり,域外国との関係調整 (インドシナ諸国および対中国交樹立) を目指すべく,ASEANの地域秩序構想となった。その実現のため 71年 11月に中立検討委員会が設置され,84年7月の ASEAN外相会議で東南アジア非核兵器地帯化の表明が行われた。脱冷戦期の現在,ZOPFANは従来の構想からの脱却を迫られている。

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