日本大百科全書(ニッポニカ) 「クセジュ文庫」の意味・わかりやすい解説
クセジュ文庫
くせじゅぶんこ
Collection Que Sais-Je ?
フランスの代表的なペーパーバックの叢書(そうしょ)。文庫という名称だが、その判型は新書判である。「クセジュ」とは、フランス語で「私は何を知っているか?(何も知らないではないか)」と自分に問いかけることを意味する。ルネサンスの思想家モンテーニュが「知識のための武器」として座右の銘にしたことで有名である。その刊行方針は、モンテーニュの思想と百科全書の精神に基づき、古典的教養から最先端のテーマまで現代人に必要なテーマを幅広く提供するところにある。ビシー政府下の1941年、『生物学の歩み』を第一冊として、プレス・ユニベルシテール・ド・フランス社から発刊された。2010年までに約4000点刊行されている。売れ行き上位は、『英国史』『実存主義』『マルクス主義』である。2011年(平成23)時点で、日本(白水社版)を含め40か国で翻訳出版されている。1951年(昭和26)に刊行された日本語版は、ヨーロッパの新しい文化や知識を紹介する新機軸のシリーズであった。2011年、その刊行点数は950点以上である。なお、原シリーズは例外なく画一的に128ページにまとめられている。
[川井良介]