天文学と数学、地球科学、生命科学(環境をとくに重視した)、多発性関節炎(関節リウマチ)の4分野において、顕著な功績を残した研究者に贈られる世界的に権威のある科学賞。スウェーデン王立科学アカデミーが、ノーベル賞の対象になっていない専門分野に関し、基礎研究を推進することを目的に1982年から年に一度表彰しているもので、その年の授賞対象となった1分野から選出された受賞者に贈呈される。受賞者にはスウェーデン国王から総額600万スウェーデン・クローナ(日本円で8500万円相当)の賞金が贈られる。運営はクラフォード財団(事務局はスウェーデン南部のルンドに所在)が行う。
クラフォード賞は、人工腎臓(じんぞう)の発明に寄与し、透析器の商品化に尽力した実業家のホルガー・クラフォードHolger Crafoord(1908―1982)と、その妻で医師のアンナ・グレタ・クラフォードAnna-Greta Crafoord(1914―1994)が1980年に設立したクラフォード財団により創設された。初受賞は、天文学と数学の分野より選出されたモスクワ大学のウラジーミル・アーノルドVladimir Arnold(1937―2010)、ニューヨーク大学のルイス・ニーレンバーグLouis Nirenberg(1925―2020)の二人であった。
日本人では、自己免疫疾患の原因究明に寄与し、治療薬開発に至る業績が評価された大阪大学の岸本忠三(ただみつ)(1939― )と平野俊夫(1947― )が、2009年(平成21)に初めて受賞した。また、2015年には、集団遺伝学分野で「ほぼ中立説」を確立した功績が評価され、国立遺伝学研究所の太田朋子(ともこ)(1933― )が受賞している。
[編集部]
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