クレランボー(その他表記)Gaëtan Gatian de Clérambault

改訂新版 世界大百科事典 「クレランボー」の意味・わかりやすい解説

クレランボー
Gaëtan Gatian de Clérambault
生没年:1872-1934

フランスの精神医学者。パリの南方ブールジュに生まれる。法律学,ついで医学を学び精神科医となったが,若いころから芸術全般に関心をもち,民族学の造詣も深かった。パリ警視庁特別医務局に在職当時(1920-33),同所でなされた講義と鋭い臨床観察に基づいた精神病理学説,とりわけ〈精神自動症automatisme mental〉の概念によって名声を博した。彼は慢性幻覚精神病の症状分析から,その基本にあって自発的,機械的に生ずる現象を精神自動症と名づけ,各種の幻覚,考想化声,先行思考,作為体験などを説明したが,とりわけ幻覚や妄想に先行する感情的色調を欠いた中性的性格の小自動症を重視した。精神自動症の原因を大脳の器質的・機械的プロセスによるものとした点で多くの批判を受けたが,今日でもその鋭い症状分析は高い評価を受けており,この用語はフランスではなお使用されている。そのほかクロラールコカインエーテルなどの中毒症の研究,てんかん,そして熱情妄想,とくに恋愛妄想の記述にもすばらしいものを残している。1934年11月,パリ,マラコフの自宅でピストル自殺をした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレランボー」の意味・わかりやすい解説

クレランボー
くれらんぼー
Louis-Nicolas Clérambault
(1676―1749)

フランスの作曲家、オルガン奏者。パリの音楽家の家系に生まれ、パリのジャコバン派聖堂、サン・シュルピス教会のオルガン奏者を歴任した。1701年、作品出版許可を得、オルガン曲、ハープシコード曲、世俗カンタータなどを次々に出版した。オルガン曲は、教会音楽家でありながらミサでの使用を考えず、組曲形式を採用している。彼がもっとも力を注いだのは、洗練された旋律美と生気あるリズムをもった世俗カンタータで、そのなかには『オルフェ』『メデ』など、18世紀フランスにおけるこの分野の代表作が含まれている。

[美山良夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレランボー」の意味・わかりやすい解説

クレランボー
Clérambault, Louis Nicholas

[生]1676.12.19. パリ
[没]1749.10.26. パリ
フランスのオルガニスト,作曲家。 A.レゾンの弟子。パリのサン・シュルピス聖堂その他のオルガニストをつとめた。チェンバロ曲,オルガン曲のほか,フランスのバロック時代の最もすぐれたカンタータの作曲家として知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のクレランボーの言及

【精神自動症】より

…フランス精神医学で用いられる概念で,クレランボー症候群ともいう。G.G.deクレランボーは精神分裂病の思考奪取,思考吹入,させられ体験,妄想気分,幻聴などに相当する症状を,意識や意志と無関係に精神活動が起きる現象として精神自動症とした。…

※「クレランボー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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