日本大百科全書(ニッポニカ) 「グイラルデス」の意味・わかりやすい解説
グイラルデス
ぐいらるです
Ricardo Güiraldes
(1886―1927)
アルゼンチンの小説家、詩人。大地主の家に生まれ、牧童(ガウチョ)の生活を熟知する。少年期にも過ごしたヨーロッパに渡り、バレリー、ラルボーをはじめ多くの作家と親交をもつ。アルゼンチンの典型的人物を描いた短編集『死と血の物語』(1915)、西欧に失望した若者が帰郷し精神的充足を得るまでを描いた自伝的小説『ラウチョ』(1917)などののち、『ドン・セグンド・ソンブラ』(1926)を発表した。この作品はガウチョ文学の最高傑作の一つであり、パンパの象徴でもある理想化された1人のガウチョと、彼にあこがれる少年の交わりを描いた教養小説である。詩集には『水晶の鈴』(1915)や『小径』(1927)などがある。
[安藤哲行]
『興村禎吉訳『ドン・セグンド・ソンブラ』(1974・ドン・セグンド・ソンブラ刊行委員会)』