1983年のイタリア・フランス・ソ連共同制作映画。アンドレイ・タルコフスキー監督。タルコフスキーが国外で、初めてソ連当局の干渉なしに自由に撮った映画。この作品を撮ることが、彼に西側世界への亡命を決意させた。世界の終末からの回避というテーマをもつこの作品は、タルコフスキー独自の詩的映像宇宙の繊細な美しさが横溢(おういつ)した傑作である。カンヌ国際映画祭でグランプリと同等の創造大賞に加え、国際批評家連盟賞を受賞。詩人のゴルチャコフは、弾圧を承知でイタリアを放浪しロシアに帰国後自殺を遂げた音楽家サスノフスキーの伝記を書くため、心臓発作の持病をおしてイタリアにやって来た。トスカーナの湯治場で、世界の終末から人々を救うことを説いて村人から狂人視されている老人ドメニコのことを耳にして興味をもち、彼を訪ねて世界を救うために、ある約束をする。それは彼にかわって蝋燭(ろうそく)に火をともし、それを消すことなく死を賭(と)しても大浴場を横断することであった。
[田中 陽]
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