日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリオキシル酸」の意味・わかりやすい解説
グリオキシル酸
ぐりおきしるさん
glyoxylic acid
アルデヒドカルボン酸の一つで、グリオキサル酸glyoxalic acidともいう。吸湿性の無色柱状結晶。普通、1分子の結晶水を含む。水に溶けやすく、アルコール、エーテル、ベンゼンには溶けにくい。融点98℃で、これ以上加熱すればグリコール酸、シュウ酸、水を生ずる。物質代謝の中間生成物や分解産物として動植物界に広く分布する。とくに植物の未熟な果実や若い葉に多く存在するが、成長するにしたがって消失、あるいは減少する。また、生体内におけるアミノ酸の一種グリシン生合成の前駆体であり、分解産物でもあるし、光合成初期産物の一つであるグリコール酸の代謝中間生成物でもある。なお、グリオキシル酸回路の中間体として重要である。
[飯島康輝]