グリオキシル酸(読み)グリオキシルサン

化学辞典 第2版 「グリオキシル酸」の解説

グリオキシル酸
グリオキシルサン
glyoxylic acid

C2H2O3(74.04).OHCCOOH.グリオキサル酸ともいう.アルデヒド酸のもっとも簡単なものである.動物,植物体の組織,未熟の果実中に含まれ,成熟するにつれて消失する.生体内におけるグリシン生合成の前駆物質であり,また分解生成物でもある.エタノールアセトアルデヒドなどを酸化するときに得られる.無色の柱状結晶.融点98 ℃.Ka 4.74×10-4(25 ℃).水に易溶,エタノール,エーテルベンゼンなどに難溶.融点以上に加熱するとグリコール酸シュウ酸,水を生じる.刺激性や腐食性などの毒性がある.[CAS 298-12-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリオキシル酸」の意味・わかりやすい解説

グリオキシル酸
ぐりおきしるさん
glyoxylic acid

アルデヒドカルボン酸の一つで、グリオキサル酸glyoxalic acidともいう。吸湿性の無色柱状結晶。普通、1分子の結晶水を含む。水に溶けやすく、アルコール、エーテル、ベンゼンには溶けにくい。融点98℃で、これ以上加熱すればグリコール酸、シュウ酸、水を生ずる。物質代謝の中間生成物や分解産物として動植物界に広く分布する。とくに植物の未熟な果実や若い葉に多く存在するが、成長するにしたがって消失、あるいは減少する。また、生体内におけるアミノ酸の一種グリシン生合成の前駆体であり、分解産物でもあるし、光合成初期産物の一つであるグリコール酸の代謝中間生成物でもある。なお、グリオキシル酸回路の中間体として重要である。

[飯島康輝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリオキシル酸」の意味・わかりやすい解説

グリオキシル酸
グリオキシルさん
glyoxylic acid

グリオキサル酸ともいう。化学式 CHOCOOH 。未熟の果実中に存在する。水に溶けて黄色を呈する。エチルアルコール,エーテル,ベンゼンに難溶。酸とアルデヒドの両方性質を有し,アンモニア性硝酸銀を還元する。融点以上に熱すると分解する。植物および微生物の代謝作用 (グリオキシル酸回路) にあずかる重要な物質である。酸化するとシュウ酸を生じる。

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