グレートブリテン号(読み)グレートブリテンごう(その他表記)Great Britain

翻訳|Great Britain

改訂新版 世界大百科事典 「グレートブリテン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・ブリテン号 (グレートブリテンごう)
Great Britain

大洋を航海する船として初めてスクリュープロペラを装備したイギリス商船。大型の商船としては初の鉄船でもある。ブルネルIsambard Kingdom Brunel(1806-59)の設計により,1839年ブリストル造船所で起工,43年完成。全長96.6m,幅15.5m,排水量3618トン。46年アイリッシュ海で座礁したが翌年引き下ろされて再使用され,このことにより鉄船の耐久性に対する信頼が高まった。フォークランド諸島倉庫として利用されたこともあるが,70年以降ブリストルに保存されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレートブリテン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・ブリテン号
ぐれーとぶりてんごう
Great Britain

19世紀におけるイギリスの大西洋横断船。同航路における最初の鉄船であり、最初のプロペラ推進船である。1843年建造。3270総トン、長さ88メートル、1500馬力、平均速力12ノットで、当時最高の性能を誇った。6本マストを備えていた。船体は6個の水密区画に分けられ、安全のためのこの方式は世界最初のものであった。また船体を強固にするためと横揺れを防ぐために、初めてビルジキール(船底両側湾曲部に竜骨に平行に設けた縦通材)が設備された。45年からリバプール―ニューヨーク間に就航した。46年9月アイルランドのダンドラム湾で座礁したが、翌47年8月に再浮上。52年からおもにオーストラリア航路で活躍した。86年、嵐(あらし)のためホーン岬から流され、フォークランド諸島のポート・スタンリーに接岸、1937年まで石炭貯蔵船として使用された。70年に同船が建造されたブリストルに運ばれ、イギリスの重要記念物として永久保存されている。

[茂在寅男]


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百科事典マイペディア 「グレートブリテン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・ブリテン号【グレートブリテンごう】

航洋船として最初にスクリュープロペラを装備した英国船。木船にかわって鉄船の利点を確立した画期的な巨船でもあり,大型の商船としては初めての鉄船でもある。英国のI.K.ブルネルの設計。1843年進水。長さ96.6m,排水量3618トン,蒸気機関2000馬力,速力12ノット。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グレートブリテン号」の意味・わかりやすい解説

グレート・ブリテン号
グレート・ブリテンごう
Great Britain

グレート・ウェスタン社の手に成る世界最初の大型鉄船。 1845年デビュー当時は旧型の外輪船であったが,その後換装し,世界初の実用大型スクリュー推進船として革命的な役割を演じた。総トン数 3450t,乗客数は外輪船当時 260人,スクリュー船になってからは 210人。速力は 9.5kn。当時はマンモス客船として世界的な脚光を浴びた。

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世界大百科事典(旧版)内のグレートブリテン号の言及

【客船】より

…荒天時の復原性については,54年の青函連絡船洞爺丸事件以来研究が進み,日本では客船の復原性についてきびしい基準が定められている。【小山 健夫】
【世界の代表的な客船】
グレート・ブリテンGreat Britainイギリス。鉄船時代を代表する船。…

【客船】より

…蒸気機関の利用は天候に大きく支配されていた船の運航の定期化を可能とし,1838年大西洋を汽力だけで初めて横断したシリウス号Sirius(イギリス,1838建造,703総トン,8.5ノット)に大西洋定期船の名称が初めて使われた。推進器も初めの外車にかわり,スクリュープロペラが使われるようになり,グレート・ブリテン号(イギリス)の成功によりその傾向が決定づけられた。構造材料も木から鉄,さらに鋼へと進んで大型船の建造が可能となり,50年から90年の間に1000トンクラスから1万トンクラスへと大型化している。…

※「グレートブリテン号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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