日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレート・ブリテン号」の意味・わかりやすい解説
グレート・ブリテン号
ぐれーとぶりてんごう
Great Britain
19世紀におけるイギリスの大西洋横断船。同航路における最初の鉄船であり、最初のプロペラ推進船である。1843年建造。3270総トン、長さ88メートル、1500馬力、平均速力12ノットで、当時最高の性能を誇った。6本マストを備えていた。船体は6個の水密区画に分けられ、安全のためのこの方式は世界最初のものであった。また船体を強固にするためと横揺れを防ぐために、初めてビルジキール(船底両側湾曲部に竜骨に平行に設けた縦通材)が設備された。45年からリバプール―ニューヨーク間に就航した。46年9月アイルランドのダンドラム湾で座礁したが、翌47年8月に再浮上。52年からおもにオーストラリア航路で活躍した。86年、嵐(あらし)のためホーン岬から流され、フォークランド諸島のポート・スタンリーに接岸、1937年まで石炭貯蔵船として使用された。70年に同船が建造されたブリストルに運ばれ、イギリスの重要記念物として永久保存されている。
[茂在寅男]