ゲティスバーグの演説(読み)げてぃすばーぐのえんぜつ(英語表記)Gettysburg Address

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲティスバーグの演説」の意味・わかりやすい解説

ゲティスバーグの演説
げてぃすばーぐのえんぜつ
Gettysburg Address

南北戦争中の1863年11月19日、最大の激戦地ペンシルベニア州ゲティスバーグにおける国有墓地の戦没者慰霊式典で、リンカーンによってなされたアメリカ史上もっとも有名な演説の一つ。建国87年にしての一大内戦により、「自由の精神にはぐくまれ、すべての人は平等につくられているという信条に捧(ささ)げられた新しい国家が……永続できるか否かの試練を受けており……人民の、人民による、人民のための政治」を守るために戦おうと訴えたこの演説は、アメリカ民主主義の真髄を明確に定義し、南北戦争の大義を世界に宣言したものといえよう。しかし当時、演説そのものは、一般には感銘を与えるものとしては受け取られず、むしろ後世になってその意義が改めて評価されることになった。

[長田豊臣]

『ゲリー・ウィルズ著、北沢栄訳『リンカーンの三分間――ゲティズバーク演説の謎』(1995・共同通信社)』『高木八尺・斎藤光訳編『リンカーン演説集』(岩波文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ゲティスバーグの演説」の意味・わかりやすい解説

ゲティスバーグの演説 (ゲティスバーグのえんぜつ)
Gettysburg Address

アメリカ南北戦争中の1863年,ペンシルベニア州ゲティスバーグで行われたリンカン大統領の演説。ゲティスバーグは南軍の北部侵入を防いだ激戦の地で,演説は,戦いの4ヵ月後の11月19日,ここで開かれた国立戦没者墓地奉献の式上で行われた。〈87年前,われわれの父祖たちは,自由の精神にはぐくまれ,すべての人は平等につくられているという信条にささげられた,新しい国家を,この大陸に打ち建てた〉の一文に始まり,人間の自由を証明する使命を持つアメリカのために身をささげなければならないと説くこの演説は,〈人民の,人民による,人民のための政治〉という言葉で締めくくられている。言葉の選択に優れた簡潔明快な演説の典型で,アメリカ独立宣言と並び,アメリカ民主主義の精神を象徴する歴史的文書である。
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