古代ローマの民会。元老院、コンスル以下の政務官と並んでローマの重要な政治機関で、国民の意思を代表するが、採決の仕方は、国民の意思が平等に表現される民主的なものではなく、議事も、提案されたことに対する賛否が問われるだけで、修正はありえなかった。採決は、国民全体の下部区分ごとに一票をもつ仕方で行われた(各区分を構成する人数が異なったから不平等となった)が、区分の仕方の相違に応じて次の3種類の民会があった。
(1)クーリア民会。王政時代にさかのぼる最古の民会であるが、共和政期には、ケントゥリア民会で選出された政務官を承認するクーリア法を発するほか、家族法関係のわずかな機能だけをもった。
(2)ケントゥリア民会。財産額区分であるケントゥリアごとに一票の意思を表明する民会で、紀元前5世紀なかばごろ生まれ、インペリウム(命令権)をもった政務官の選挙、立法、市民の死刑裁判などを行った。
(3)トリブス民会。地域区分であるトリブスごとに一票を行使する民会で、下級政務官の選挙のほか、ケントゥリア民会より開催手続が簡単なので、のちにはますます多く立法にも使われた。前287年、たてまえ上、平民だけの集会での決議が法律と認められるようになると、この平民会とトリブス民会はほとんど同じものとなった。領土の拡大とともに、ローマで開かれる民会は実質的に意味を失ったが、3世紀までは形式的に存続した。
[弓削 達]
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…スパルタの民会では賛否の叫び声で採決された。【太田 秀通】
【ローマ】
ローマの民会,コミティアcomitiaは全市民の決議集会であるが,貴族を除く平民会,コンキリアconciliaも後に民会の意義を担った。構成は市民団の下部区分に即応し,古来の3部族が含む30クリアでクリア民会,王政期末以来の193ケントゥリアでケントゥリア民会を構成し,トリブス民会(トリブス),平民会は35地区に基づく。…
※「コミティア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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