兵員会(読み)へいいんかい(その他表記)comitia centuriata

精選版 日本国語大辞典 「兵員会」の意味・読み・例文・類語

へいいん‐かいヘイヰンクヮイ【兵員会】

  1. 古代ローマの民会一つ。第六代王セルウィウス=トゥリウスの創設と伝えられるが、紀元前五世紀中ごろに成立したとみられる。百人組ケントゥリア)を軍事上の一単位とし、立法・政務官選出宣戦講和などを行なったが、やがて平民会にとって代わられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「兵員会」の意味・わかりやすい解説

兵員会
へいいんかい
comitia centuriata

古代ローマの正式の市民会議。ケンツリア会と呼ばれることもある。セルウィウス・ツリウスの設置に帰せられるが,実際は前 450年頃おかれたと思われる。市民を武装の別により5等級に分け,それぞれ百人隊 (ケンツリア ) を単位として,マルスの野 (カンプス・マルチウス) で行われた軍会が起源。執政官 (コンスル ) が招集,司令し,次期執政官などの選出,宣戦,講和の決議を行なったが,次第に決議の範囲が拡大し,権限も増大し,立法の決議は元老院の同意を必要としなかった。前4世紀末,貨幣所有額による等級が定められ,全 193ケンツリア中,騎士級 (エクイテス ) と歩兵第一級が過半数 (98) を占めるなど,非民主的なものとなった。のちトリブスと結びついて 369ケンツリアとなったらしい。共和政末期には都市大衆が出席者の常連となり,買収などにより堕落した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「兵員会」の解説

兵員会(へいいんかい)
comitia centuriata

古代ローマの民会の一つ。セルウィウス・トゥリウス王の創設と伝えられるが,前5世紀に成立したとみられる。百人組(ケントゥリア)が投票の単位をなす。重装歩兵戦術の採用によりパトリキプレブス差別のない軍隊が再編成されたことと関連し,財産評価の原理に立つ歩兵,騎兵などの兵役義務の差によって市民が等級に分かれた一種の軍会。コンスル以下の高官の選挙,和戦の決定,立法などの決定権を持った。保守的な規定があり,アテネ民会のような権威は持たなかった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「兵員会」の解説

兵員会
へいいんかい
comitia centuriata

古代ローマの民会の1つ
前5世紀に武装市民のケントゥリア(centuriae,百人組)を単位とした一種の軍会として成立。のち正式の市民総会となり,百人組を投票の単位として,コンスルなどの選出,和戦の決定,立法などの決定権をもったが,元老院のような権威はなかった。

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